私たちは住民に、「泣いてもいいんだよ」とずっと言い続けてきた

8月26日（土）、27日（日）に久しぶりに岩手県の沿岸部をまわります。

山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の図書館と書店をまわりたいという知人のリクエストに応え、案内をすることになりました。

岩手県入り前のお盆休みの先週、あらたあめて東日本大震災について書かれた本を読み返しました。

その中の一冊が矢永由美子・佐々木格編著「『風の電話』とグリーフケア」（風間書房、2018年）です。

これは岩手県大槌町の海を見下ろす丘にある「ベルガーディア鯨山」内に置かれた私設電話ボックスで、全国から多くの方が亡くなった方に思いを伝えるために訪れます。

「ベルガーディア鯨山」を運営する佐々木格さんが、亡くなった方と「想いをつなぐ」ということが喪失感（グリーフ）から立ち直るきっかけになると設置した電話ボックスです。

この本の中にご家族を失ったケアマネジャーの方のエピソードが紹介されています。ケアマネジャーという、住民の悲しみを聞き支援する側が、自身の家族を失った時、どのように自身の苦しみに向き合ってきたかが詳細に述べられていました。

また支援する側である沿岸部の保健師の声も載っていました。

「私たちは住民に、『泣いてもいいんだよ』とずっと言い続けてきたが、自分にその言葉を向けることはできなかった」。

矢永由美子・佐々木格編著「『風の電話』とグリーフケア」（風間書房、2018年）49p

花田ミキさんは自身のことをどこまで言葉にできたのか。戦争の体験は自費出版という形で発信されていました。

でもまだ心の中には言えなかった言葉がたくさんあったのではないか。それで晩年は知人や教え子との連絡も絶って、孤独の中で時間を過ごしていたのではないか。

そんな気がしてなりません。

来週に、制作サイドの方との会議があります！どこまで進んでいるのか聞いてお伝えしますね。