野原幹司(大学院歯学研究科顎口腔機能治療学准教授)

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口腔がん：がんで失った「ことば」を取り戻す、新規言語治療法の開発を

野原幹司(大学院歯学研究科顎口腔機能治療学准教授)

2021年09月30日 23:50

Standing on the shoulders of giants

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　私が所属する顎口腔機能治療部は，1973年に「言語治療を行う独立した診療部が必要である」として宮崎正教授を初代部長として阪大歯学部附属病院に設置されたことが始まりです．それから50年近くが経過し，顎治は言語治療で培ったノウハウをもとに，嚥下障害，ドライマウス，睡眠時無呼吸症，栄養障害などを専門とする診療部門へと発展してきました．

　現在は社会的なニーズもあり顎治といえば嚥下障害やドライマウスが有名かもしれませんが，その根底には1973年の宮崎教授の「ことば」の治療への思いが流れています．われわれが嚥下内視鏡で用いている柔らかく細い経鼻内視鏡も，「ことば」の治療のために宮崎教授のグループが世界で初めて開発したものであり，そういった経緯が無ければ今ほど顎治の嚥下は発展していなかったでしょう．今回のクラウドファンディングのプロジェクトも「ことば」の治療がテーマですが，これも「顎治の臨床の根幹は言語治療である」というところからスタートしています．

　そう思うと，現在の顎治は「巨人の肩の上に立つ」ことで成り立っているんだなぁ，と感じずにはおられません．先見の明を持った巨人がいたからこそ，われわれはその肩の上に立つことができ，高いところから周りを見渡すことで新しい取り組みを発展させてこられました．巨人がいてこその現在の顎治であるということを肝に銘じ，巨人が作り上げてこられた「顎口腔機能治療部」の名に恥じぬよう，これからも臨床・研究・教育に真摯に取り組んでいこう！と今日（？）決意を新たにしました．

　将来的には野原も誰かの巨人になれれば…いや，ならないとダメだとも思っていますが…．今日１日は野原にとっての巨人に思いを馳せつつ，肩の上に乗っていたいと思います．

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