広島で参加者に知ってもらいたいこと

以前投稿した「プログラムの構成と特徴について」というポストの中で、広島に参加者が集まって、対面で実施する「広島セッション」では、主に広島でしか見ることができない、聞くことができないことを中心に、参加者に経験してもらっている、ということを書きました。

現在はすっかり復興し、発展した広島の街では、普通に歩くと被爆の爪痕に気づかずに過ごせてしまいますが、平和記念公園の周辺では、原爆ドームをはじめとする、被爆の凄まじさを示す遺構、そして犠牲になった方々を追悼する慰霊碑などが多く残されています。

あのきのこ雲の下では、確かに普通の罪なき人々がそこにいたこと。普通の人々の生活があったこと。それが一瞬にして奪われたこと。そのようなことが、静かに、しかし強く心を揺さぶってくる場です。

現代の戦争は、ドローンやAIの進化により、あたかもそこに人が介在しない、仮想空間での出来事のように感じられるかもしれません。そこに人の体温を感じる余地はほとんどありません。

しかし、ここでは、核兵器は確実に人の命、財産、人と人とのつながりを奪うものであることを再認識させてくれるとともに、このような兵器が存在していることについての恐怖を感じさせてくれます。

昨年、Ｇ７広島サミットが開催されたとき、Ｇ７各国の首脳が、平和記念公園を訪れ、被爆の実相に触れていただくことが実現しました。そして、「核兵器のない世界」を目指すという「究極的な目標」が、「責任あるアプローチを通じて達成される」旨が声明に記されました。

このことは、被爆の実相に触れた首脳たちが、このようなことは繰り返してはいけない、との想いを共有し、そこに責任が生ずる、と考たことから生まれたものであると私たちは考えます。同じように、ひとりでも多くの若者たちが広島を訪れ、同じ思いを共有してもらいたいと考えています。

イギリスのスナク首相（当時）は、サミット後の記者会見において、「広島ほど、平和の重要性を話し合うのにふさわしい場所はない。平和公園では心を深く動かされた。ひしゃげた三輪車や破れた血まみれの学生服などを心に刻み、この地で起きたことを決して忘れない」と強調しました。

そのような思いを、広島を訪れた若者たちにも感じてもらい、平和を希求するリーダーへと成長していってもらいたいと思っています。