「引き取らないならエサはやらない。」

60代くらいの女性からの電話。

「野良猫が家の敷地内に来たので可哀想だと思ってエサをあげたら子猫を生んだ。増えて困るので保健所に引き取りを頼んだら出来ないと言われ、無視すればいい、エサをあげなければ何処かに行くからと言われた」

だからハーツに引き取りをして欲しい。

引き取らないならエサを止める。

こんな電話は山ほどあります。

でも「保健所はエサをあげている人にエサやりを止めてとは言いませんよ」

「絶対に言いました」

「言わないと思いますよ。手術してきちんとエサやりをして下さいと言うはずです」

「絶対に言ってません。ハーツは間違った事を言うんですか」

こんなやり取りを繰り返し、その人は怒って電話を切りました。

ハーツは相談があると、まず最初に住所を聞くので、気になる内容だと現地を訪ねます。

今回も行きました。

出て来たその人はハーツと分かった途端に大声で「帰って」と叫び、私の肩を思い切り突き飛ばしました。

それでも無理やり資料を渡し、負けずに話をしました。

「5匹なら手術をしてきちんとエサをあげて下さい。捕まえたり、病院に運ぶのは手伝います」

「主人が手術はしないと言ってるから」

「では近所や自治会にも話をして地域でやりましょう。捨てた人が一番悪いんですから、地域で協力しましょう」

と説得しましたが「そんな恥ずかしい事は出来ない。保健所がエサをやらなければいいと言ったんだから」の一点張り。

「費用は分割でかまいません。都合のいい時に千円でもかまいません」と粘り、相談者は諦めたのか、ようやく手術をすると答えました。

「自分で捕まえて、近くの病院に連れて行く。どうしても捕まらなかったら手伝って」と。

本当かどうか心配ですが、信用する事にしてひとまず帰りました。

保健所に連絡し、誤解があるようなのでその方を訪ねて説明して欲しい、

手術の約束も確認して来て欲しいと依頼しました。

写真は環境省のパンフレットの一部です。

「愛護動物とは、飼い主の有無にかかわらない全ての猫」と明記しています。

この件は私が3回、別の団体の代表が1回、環境省に「動物愛護法で、野良猫にもエサや水を止めて衰弱させてはいけない」との確認を取りました。

野良猫でも飼い猫でも猫は猫。

愛護動物です。

人間の勝手で捨てられた動物にエサを与えてはいけないと、国は言っていません。世の中には「野良猫にエサを与えてはいけない」という間違った事を言う人がいかに多いか。

しかもこういう人ほど声が大きい。

ハーツは「野良猫のエサやり」に関する件は今後もきちんと伝え「必ず手術をして、きちんとしたしましょう」と訴えて行きます。

もちろん、目標は地域猫です。

愛知県のパンフにも「野良猫を排除するのではなく、人間と同じいのちあるものとして」と書いてあります。

ホームページでも見られます。