ウガンダ、難民のこと

今、ウガンダの首都カンパラから西へ7時間ほど車で走ったところにあるカムウェンゲという県にいます。本業で出張しています。

 

今回は、少しウガンダについて書きます。
ウガンダは、アフリカ中央部に位置し、標高が1000m以上ある地域が大半で、赤道直下であるにもかかわらず過ごしやすい気候を有しています。
特に私が暮らすカンパラは、緑豊かで街はコンパクトにまとまっており、生活のしやすいアフリカの国といえます。

日本からは、飛行機で丸一日かかります（合計17～18時間は機内で過ごします）。
最近は、オンデマンドで映画を視聴できる機体がほとんどですので、最新の映画を何本もみることができます（3本もみると飽きますが）。

アフリカ最大のビクトリア湖を有し、ナイル川の源流はこのウガンダにあります。
コーヒー、綿花などの一次産品の生産などは主産業です。
近年、油田開発が進んでおり、原油等の輸出が経済成長をけん引していくことが期待されています。

さて、カムウェンゲ県へ来たのは、その県にある難民居住地を訪問するためです。ウガンダには、多くの難民居住地があります。日本で暮らす皆さんが難民居住地を想像すると、テントが立ち並ぶ「キャンプ」を想像するかもしれませんが、土壁、トタン屋根のアフリカらしい家が立ち並んでいます。

 

ウガンダは難民に対して、寛容な政策を取っており、居住地内に土地（一定の面積）を与えられ、そこに家を建てることもできます。また商業活動や居住地外への移動も可能です。深く見ていくと様々な課題がありますが、それでも自分で土地を耕し、作物を作り人間らしい生活が可能です。

 

ウガンダは、南スーダン、コンゴ民主共和国、タンザニア、ルワンダ、ケニアと国境を接しており、現在、南スーダン、コンゴ民主共和国から多くの難民を受け入れています。どちらも政治が不安定であり、未だに紛争が続いています。

今回、東アフリカ選手権への出場を目指す私の弟子たちの多くが、コンゴ民主共和国からの難民です。カンパラに暮らす彼らの暮らしぶりは、難民居住地に暮らす難民よりのそれよりも少し華やかですが、
母国で十分に教育が受けられなかったり、十分な人生を切り開いていくためのチャンスを得ることができないという閉塞感から逃れ、カンパラに来ました。
「いつかコンゴに帰るの？」と聞くと皆が「それはできない」と語ります。政治的な混乱、汚職、ゲリラ等、彼らにそう語らせる様々な背景があります。

 

「故郷」とはなにか？
実は私は大学院でそんなことを考える研究をしていました。
日本を離れアフリカで仕事をする私個人にとっても重要なテーマです。
難民の選手にとってカンパラは、故郷ではありません。
故郷であるはずのコンゴには、本来故郷が提供してくれる安心感がありません。
生活という点では、カンパラのほうが安心して暮らせます。
しかし、常に難民であることを意識した生活を送ることになります。

彼らにも自分の人生をより良いものにする権利はあります。
そして私の生徒たちは、人生の一部として、人生を豊かにする方法として柔道を学ぶことを選びました。
彼らが柔道をしている間は、ただの柔道家として稽古に専念でき、そして夢を追いかけることができるようにしてあげたいなと思います。
そして世界に広がる柔道家とのつながりを通じて、彼らが精神的な安心を感じられるといいなと考えています。

皆さんから頂戴した／するご支援で彼らに柔道を通じた学びを提供していきます。引き続きどうぞよろしくお願いします。