【活動報告】南アフリカでの2021年度の活動の成果

「未来を決める力をすべての人に！JVCfuturePJ2021」の活動報告、今日はじめの投稿では、南アフリカについてご紹介します。

 

 

■□南アフリカの状況と活動概要□■

 

「世界一の格差社会」南アフリカ。特に35歳以下の若い世代で、失業率が50％を超えています。また「世界最多のHIV陽性者」が暮らす同国では、大人の5人に一人がエイズに感染しており、「エイズ遺児」になる子どもが後を絶ちません。

 

厳しい社会状況下、14歳以下の子どもの約7割が貧困下に暮らしています。特に農村部の貧困家庭の子どもたちは、親を亡くすこと以外にも、身近な大人が出稼ぎで不在なために食べものへのアクセスが限られるなど多くの課題に直面しています。

 

こうした社会状況が世代を超えて悪循環する中、JVCは困難な家庭環境下の子どもたちをサポートしています。  

 

 

■□2021年度の活動概要□■

 

 

■困難な家庭環境にある子どもの支援■

 

 

【活動概要】

南アフリカの各地には、エイズの影響を含めた保護者の不在、貧困など、困難な家庭環境にある子どもたち（Orphan and Vulnerable Children／孤児・脆弱な子ども、以下OVC）が数多く暮らしています。

 

各地域には、5～20代前半のOVCが学校帰りに立ち寄り、遊び、勉強しながら、必要なサポートを受けられるように、公的な制度に基づき「子どもケアセンター」が設立されています。

 

センターは地域の女性たちを中心とした「ケアボランティア」によって運営されていますが、ケアボランティアの多くは研修を受ける機会がなく、OVCのケアに関する十分な知識やスキルを持っていません。 

 

JVCは、南アフリカの中で「貧困州」とされるリンポポ州の１村で「ムペゴ子どもケアセンター」と活動を行っています。

具体的には、

 

（１）ケアボランティアがOVCをケア・サポートする方法を学ぶ研修

（２）ケアボランティアがOVCに学びや遊びの場を提供するための「活動プログラム」を学ぶ研修

（３）センターに通う10代のOVCが、HIV/エイズや自分たちの権利、社会問題などについて学ぶライフスキル／リーダーシップ研修

（４）子どもたちの栄養と健康を日常的に支えるため、ケアボランティアと青少年を対象とした自然農法による菜園づくり研修

 

以上のような研修を実施しています。

JVCはOVCたちの今の課題に気づき、支えながら、OVCたちが自ら考え、行動する力をつけることで、悪循環を止めることを目指して活動しています。 

 

【活動地で生まれた変化】

活動では、子どもの虐待とトラウマ、カウンセリング法、HIV/エイズなどについて学びました。その結果、ケアボランティアらが、OVCの家庭訪問やセンターでの観察を通じ、以前は見逃していたOVCらの異変や問題に気づき、対応し始めるようになりました。

 

また、OVCが抱える問題のなかには保護者や住民から寄せられるものもあり、地域の人たちと協力してのOVCのケア・サポートの動きも見られるようになりました。 

 

さらに、ケアボランティアらが、収穫物と周辺の関係者（学校や企業）からの寄付と合わせて、年間を通じて継続的に給食を提供し続けることができるようになっています。 

 

 

■□活動地からの声□■

 

■ケアセンターに通うアウェラニ・マブラブラさん(16歳) ■ 

 

 

友人に誘われて2018年からムペゴ子どもケアセンターに通っています。センターでは、ケアボランティアが宿題をみてくれたり、自分で身だしなみを整えて、きちんと生活することの大切さなどを教えてきてくれました。

 

センターに通いはじめてから、同年代の子からのピア・プレッシャー（注）が気にならなくなり、自分で物事の判断ができるようになってきたのを感じます。JVCが「ムペゴ子どもケアセンター」と協働を始めてからは、自分で野菜をつくり、食べものを得る方法として菜園づくりの研修を受けています。

 

最近、畑仕事が楽しくなり、自宅の庭にも小さな菜園をつくりました。収獲するのが楽しみです。 

 

（注）ピア・プレッシャー：「同調圧力」。同年代など周囲の価値観ややり方に合わせなければいけない、と感じてしまう心理的圧迫感。 

 

 

*********************

 

南アフリカでの2021年度の活動の様子をお届けしました。

今後も現地のケアボランティアと共に伴走し、子どもに寄り添っていけるようなサポートを続けていきます。