焼けた木からコカリナに蘇った木達

焼けた校舎からできたコカリナ達

 

長野県上田市浦里小学校の取り組み

 

　2012年9月、長野県上田市の浦里小学校の木造校舎が焼失しました。大正13年（1924年）に建築された校舎は、多くの映画やドラマでも使用され、そこに通う子ども達だけでなく、地域の誇りとして大切にされてきた校舎でした。 

 

校舎の焼失を伝える新聞記事　（日本経済新聞ＨＰ）　https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1502A_V10C12A9CR8000/

 

火災後、「庭に飛んできた校舎の炭を集めて抱きかかえている」子ども達の様子を聞き、その真っ黒に焼けた校舎の木からコカリナを製作できないか、と学校の保護者と地域の大人が立ち上がり、約４００名を超える方たちからの支援を頂き、子ども達へコカリナをプレゼントする資金としました。

 

信濃毎日新聞より

 

また、これまでコカリナを知らなかった多くの大人達も、慣れ親しんだ校舎が楽器になって戻ってくるということで、「浦里コカリナ」を手にし、演奏し始めました。

すると、子ども達から全校生徒と地域の大人と一緒に「音楽会」を開こうとの提案があり、世代を超えた地域のつながりへと広がっていきました。

今でも、浦里小学校では学習発表会等でこの「浦里コカリナ」が子ども達の手で演奏されています。今は来年の1年生のための「浦里コカリナ」が準備中です。

 

また、これら浦里コカリナを製作する中で、校舎に使用されていたのが、非常に素晴らしい材質の木達だったことが分かりました。

子ども達が使う校舎に最高の材料を使ったという先人達の思いが時代を超えて感じられた瞬間でした。

 

2013年6月29日　信濃毎日新聞より

 

神奈川県相模原市青根小学校の取り組み

 

2016年4月、神奈川県内最古の木造校舎だった青根小学校の校舎が焼失しました。この校舎は物資の不足している戦時中に、子ども達のために地域の方たちが資材や労力を提供して建設されたものでした。

 

青根小学校は小規模校ながら、地域一体となった教育に取組んでおり、学校が世代を超えた交流拠点となっていました。そのシンボルだった校舎が無くなり、子どもだけでなく、地域の大人達からも惜しむ声が多く聞かれました。

 

青根小学校の場合も、浦里小学校の時と同様、焼けた校舎の木をコカリナに蘇らせるために、地元の大人達がプロジェクトを立ち上げ、200人以上の方にご協力を頂き、子ども達にコカリナをプレゼントできました。

その後、青根小学校でも、子ども達と一緒に演奏する機会が設けられたりと、世代を超えた交流の新しい形として受け入れられています。

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2016年7月13日　神奈川新聞

 

更に、青根の自然、子ども達、蘇ったコカリナをテーマとした絵本が来年（2019年3月）に出版される予定で、今はその準備も着々と進んでいるそうです。