海が変わっていく。海獣とヒトが共に生きるため、いま、調査が必要です
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寄付者
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2025年7月31日

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2025年07月28日 12:00

【あと3日!】シャチはどんなふうに鳴くの?

この活動報告をご覧いただいている皆様、ありがとうございます!

 

今回は,シャチの研究をしに日本にやってきた,M1のKくんにシャチの鳴音について解説してもらいました!

 

この記事に合わせた図を探していたところ,海棲哺乳類のイラストをたくさん書いていらっしゃって,一緒に共著者になったこともあるUko Gorterさん(https://ukogorter.com/)のwebページに掲載されており,クラファンの記事で使わせていただきたいとお願いしたところ,快諾していただけました!ありがとうございます!!

 

 

 

海の中は、光が遠くまで届かないため、視覚がそんなに役に立たないかもしれません。ハクジラ類が、遠く場所にいる餌生物を探すため、あるいは他個体とコミュニケーションするために最も使っているのは「聴覚」です。シャチもハクジラ類の一員として、発達した聴覚を持っています。

 

 

シャチの発音器官の構造(イラスト:Uko Gorter

 

鯨類は水中で泳ぎながら呼吸をするために、頭頂に噴気孔を持っています。ハクジラ類の発音器官は,この噴気孔の下にあります。

 

「Phonic lips (別名:Monkey lips)」という器官は空気の流れと共に振動して、「Bursa」の振動を起こしてクリックスと呼ばれる高周波の鳴音を生み出します。

 

クリックスは指向性のある鳴音で、クリックスが「Melon」という脂肪体の器官に入射すると、Melonがレンズのような役目で音を集約し、前方へと放射されます。  

 

放射されたクリックスは、餌などに当たって戻ってきます。その際、反射音は下顎にある脂肪(音響脂肪)を伝わって内耳に届きます。

 

ハクジラ類が出す笛のような音、ホイッスルもphonic lipsで産み出されています。

 

さて、シャチに色々な生態型があって、これまでのシャチの鳴音に関する研究は、主に「Resident(レジデント)[北太平洋にいる魚食性]」のシャチを対象とした研究ですので、これからの文書は、主に「Resident」の生態型を基づいて説明いたします。    

 

今までの研究によって、シャチの鳴音は主に三つのタイプに分類されています。「コール(Pulsed call)」「ホイッスル(Whistle)」「クリックス(Echolocation clicks)」です(Ford, 1984)  。

 

 

シャチのコール、ホイッスルとクリックスのスペクトログラム

 

こちらから音も聞けます!

 

 

クリックスは、他の鯨類と同じく、周りの情報を得るために使われています。特に餌生物を探すのに重要な役割を果たしていると考えられています。  

 

ホイッスルは短距離の交流と協力行動の時に使われていると考えられています。  

 

コールはシャチに最も使われて、最も研究された鳴音です。特定の個体においては、コールはあまり変わりません。この変わらないコールは「Stereotyped call」とよばれています。

 

このシャチが使っている全ての「Stereotyped call」はシャチのコールレパートリー(Call repertoire)になります。コールレパートリーはシャチの群れにより変わるので、コールレパートリーもシャチ群れの標識として考えられています(Ford, 1984; Wikipedia)   。 

 

シャチの社会構造の一部も、コールの研究によって見ることができます。

 

例えば、同じコールタイプを共有している群れは、血縁的に近い群れだと考えられます。逆に共有していない群れは血縁的に遠いと考えられます(Ford, 1984; Ford, 1991)。    

 

シャチの子供が生まれると、成長しながらお母さんからコールレパートリーを少しずつ学びます。今までの研究によって、飼育状態下に生まれたシャチの子供は,12日齢で学習を始めたこと、2歳ぐらいになると、お母さんからほぼ全部のコールを学習することがわかっています(Bowles et al., 1988)。  

 

 

シャチのコールの研究によって、私たちが見えないたくさんのことを見えるようにすることが可能です。  

 

筆者も今、北海道の釧路沖にある漁業被害について、シャチのコールから何か役に立つ情報を得られるどうかを確認しています。これからもシャチとヒトの共存のために頑張っていきます!  

 

 

引用文献

Bowles, A. E., Young, W. G., & Asper, E. D. (1988). Ontogeny of stereotyped calling of a killer whale calf, Orcinus orca, during her first year.

 

Ford, J. K. B. (1984). Call traditions and dialects of killer whales (Orcinus orca) in British Columbia (Doctoral dissertation, University of British Columbia).

 

Ford, J. K. (1991). Vocal traditions among resident killer whales (Orcinus orca) in coastal waters of British Columbia. Canadian journal of zoology69(6), 1454-1483.

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