能登半島地震の被災猫の報告〜咬むことはSOSだった。ポコの心の声を聴く

ポコちゃんは、前回のクラウドファンディングで受け入れた能登半島地震の被災猫です。
たくさんの命が揺らぐ中、皆さんの支援がつないでくれた一つの命。

でも——
当会のシェルターに来たポコちゃんは、人の手や足を本気で噛みました。
強く咬みついて離さない。
それは、小さな獲物を仕留めるような“必死の行動”でした。

体重6kg超。立派な体に、大きな歯。
本気で噛まれたら、人間は大けがをしてしまうかもしれない。

ポコちゃんを保護していた石川県動物愛護センターからの申し送りでは、

「スタッフが激しく噛まれた、要注意」という申し送りがありました。

でも、私たちはこの子を“問題児”だなんて思いません。

——噛むこと。それは、ポコちゃんの言葉にならないSOSだったのかもしれない。

私たちは、動物病院の行動診療科という選択をしました。

これは、保護団体としてはめずらしい選択かもしれません。
お金も時間もかかる。でも、ポコちゃんの心に本気でよりそいたかった。

獣医師に提出したのは20本以上の動画。
ポコちゃんの暮らし方、食べ方、他の猫との関係……
そのすべてから、先生が導き出したのは「飢餓感の記憶」という可能性でした。

実際、ポコちゃんは“食べ物に異常なほどの執着”を見せます。
ごはんを一気にかきこむ。またチュールに似た形状の紙等にとびつく。

もしかしたら、彼には「次はいつ食べられるかわからない」

そんな時代があったのかもしれません。
外で兄弟猫と生き抜いていた過去があるのかもしれません。
あるいは、あの地震で……言葉にできない孤独を味わったのかもしれません。

今、ポコちゃんは、サプリメントや知育トイで「安心して暮らす練習」をしています。
はじめての宝探しゲーム。
サプリで少しずつ和らぐ緊張。
そしてときどき、ゴロゴロとスタッフに気持ちを届けてくれるようになりました。

私たちは思います。
ただ助けただけでは足りない。
生きることは、その命が安心して眠れる場所で、幸せを感じられる日々を積み重ねることだから。

ポコちゃんは、まだ譲渡には至っていません。
でも、命のリレーは、いまも続いています。

今回のクラウドファンディングは、そうした猫たちの「これから」を支える挑戦です。
一度つないでくれた命が、ちゃんと幸せになれるように——
あなたのもう一度の力を、どうか貸してください。