北米のPTSD予防・治療・回復の現場を視察しました。被害後からPTSD治療まで無料提供でした。

　訪問した施設はどこも、連邦および州の資金でサポートされていました。そのため、センターを利用する者は、家族も含めて、すべて無料で支援や治療を受けることができます。さらに、性暴力や子ども虐待の対応には対象の理解が重要であり、特別の知識と技術と経験が要求されます。学校を対象としたプログラムや関連機関のスタッフ育成のための教育・研修・トレーニングなども、質を保証するために州が企画を主導し、公的資金で運営されていました。

　日本では、性暴力被害者支援のためのワンストップセンターの運営に対して有効な公的資金の助成はまだまだ不十分です。犯罪被害に遭ったために必要になった治療費や弁護士費用に対して自己負担を強いられることは、被害者にとっては苦痛であり、さらに傷つけられる二次被害でもあります。

長江美代子, 高岡昂太, 土田幸子, 古澤亜矢子, 坂本理恵, & 江口美智. (2017). 北米のPTSD予防・治療・回復の現場. 日本フォレンジック看護学会誌, 3(2), 57-83.