魯山人作品のご紹介：「九谷風鉢」

春風萬里荘には魯山人作品の展示コーナーがありますが、現在は福井市美術館で6月1日より開催中の『北大路魯山人展』に貸し出しをしています。
 

その中から作品をご紹介いたします。

巡回展のポスター・チラシなどの印刷物には、必ずといっていいほど登場します。

「九谷風鉢」

魯山人の九谷焼との出会いは、30歳を過ぎて、金沢・山代温泉に半年ほど滞在したときでした。

後援者の知遇を得て看板を彫る仕事をし、九谷の絵付けなどしたといいます。温かい家庭を知らなかった魯山人は、九谷の器を使い大勢で囲む食卓が、いかに食材を引き立たせるかを実感し、「器から出汁が出ているよう」と表現したといいます。
 

本作はそのときの物ではありませんが、色鮮やかな色彩に青海波文が施され、鯛のお造りなど映えるのではないでしょうか。
 

こちらは鎌倉「星岡窯」で焼かれたもので、未使用の状態でアメリカに渡りました。なぜかと言うと、当時日本に滞在していた星条旗新聞の記者シドニー・カードーゾが魯山人と懇意になり、窯から取り出した作品をまるごと買ったと言われてます。
 

カードーゾと魯山人 1955年（写真提供：平野雅章様）

 

そのまとまったコレクションは日本のカワシマ氏に引き継がれ、現在では笠間日動美術館の「カワシマコレクション 32点」として引き継がれています。
 

実は、そのカワシマさまも今回のプロジェクトにもご参加いただいています！本当にありがとうございます。

 

福井市美術館で魯山人展をご覧になった方が、今回のプロジェクトにご興味をお持ちいただけたら嬉しいです。

 

※先の投稿で「九谷焼」（正）が「久谷焼」（誤）となっていました。大変失礼しました。