【木陰。】

ガテラが旧ワンラブランドに畑を作っており、昨日はその収穫物を持ってきた。

バナナだ。

ガテラの生まれた家は、キガリの中心から少し外れたところにあり、何度も連れて行ってもらった。そこはおじいちゃんが持っていた場所で、回りにはたくさんのバナナ畑があった。

おじいちゃんは虐殺のあった頃、とても残酷な方法で命を奪われたという。ガテラはおじいちゃんの話をよくしてくれて、おじいちゃんから教えてもらった知恵がたくさんある。

そんなおじいちゃんを思ってか、旧ワンラブランドにたくさんのバナナの木を植えた。

うっそうとバナナの葉っぱが生い茂り、影に入るとひんやり気持ちが良い。

バナナの根元には豆を植えたり、その他のものを植えている。

バナナはたわわに実ると、結構重量があり、木の幹がぐにゃりと曲がってしまうので、つっかえ棒をしながら熟すのを待つ。写真のバナナ畑の斜めになっているのが、そのつっかえ棒です。

バナナは一気に何房もできるので、うちだけでは消費できず、そこで寝泊まりをしながら旧ワンラブを守っているスタッフにもお裾分け。うちにはひと房だけ持ってきた。そしてここで育てているほかの作物は、そのスタッフの食料になったり、サツマイモなんかは番犬にも振舞っている。

私は思うんだ。

ガテラが今一番ほっとする場所が、このバナナ畑の木陰なんじゃないかって。子供の頃のこと、それはもしかしたら虐殺という出来事も含めてなのだろうけど、おじいちゃんの牛に草を食ませるためにその辺を連れて歩いたり、そんな時に降り出してしまった雨の中で、一人石の上に座って考え事をしたり、そういう事をこのバナナ畑の中で思い出すんじゃないかと思うのだ。

笑っちゃうのは、こうしてガテラがバナナを旧ワンラブランドから持ってきた時に限って、私は前日辺りにバナナをひと房、道で流し売りをしているおばちゃんから買ってしまったりして、家にバナナだらけになってしまって、黒くなってしまう前に慌ててガテラも私もバナナを食べるという事。