【おいでよ。】

キガリで巡回診療をやった時、うちで働いていたセキュリティが義足を求めにやってきた。

かなり長い間セキュリティとして働いてくれており、何よりも彼はワンラブが強制撤去に遭った時、その場で現実を目にしていた一人だ。

その後行政はほんの一時的な荷物移動場所を貸してくれ、そこに全部荷物を運び入れ、更に自分たちも１カ月ほど暮らした。暮らせる状態に整備されていたわけではなく、水道や電気はあり、目の前に貯水タンクもあるのだが、水道をひねっても水は出ず（貯水タンクの位置が悪く、水圧が足りなくて水を出せない）、電気をつけても十分な供給量がないので、ついたり消えたりするいい加減なものだった。

そのセキュリティはその運び込んだ荷物を守る係として、壊されたワンラブランドから移動して、しばらく一緒に暮らしながら、この先どうするか考えていた。

そんなセキュリティが外出した時に、乗っていたバスが交通事故に遭い、亡くなった人もいる中、彼は足を切断する事故に見舞われた。

うちで働いている人が足を失ったケースは、彼だけではなく、同様に事故で足をなくした人が数人いた。

だから私はもしかしたらうちがこんな仕事をしているので、変な災いが彼らにも降りかかっているのではないかと思ったこともある。

何故義足を作っている私たちのスタッフが、一人ならず複数人足を失わなくてはいけないのだ。この仕事のせいなのではないかと思った。

その彼がこの間の巡回診療にやってきた。

彼は足をなくしてから、うちからも消えた。いつの間にかいなくなり、気が付くと街のショッピングモールの前で物乞いをしていた。

それを見て、ものすごく心が痛んだ。そんな姿を見たくなかった。

だからガテラに「もし彼の姿を見かけたら、うちに義足を作りに来るように伝えてくれ。」と言った。それはガテラも既に伝えていた。でも彼は来なかった。今まで体を使って、いろんな作業をしてくれた彼だったので、足を失った姿を私たちに見せたくなかったのかもしれない。

久しぶりに見た彼は、義足を求めにやってきてくれ、だけど来るのが遅かったので、既に作ると決めていた人数に達してしまい、その日は杖だけ受け取って帰って行った。

でも連絡先は聞いてある。連絡をして義足を作りに来るように伝えよう。