【些細なもの。】

今更ながら思った。

やるべき支援は確かにたくさんあって、彼らの要求も際限なく続くわけだけど、ない袖は振れない。

この間巡回診療に行って、今更ながら思ったのは、そうか、杖という物を渡さなくても、その先っぽにつけるゴムがあれば、それだけでも便利になるんだということ。

少し前に杖の先につけるゴムはルワンダで生産されていないので、それをローカル手作りしてるということ。そして残念なことにその男性が突然亡くなったということを投稿した。

しかしその技術は、その後の調べで別の人も作っているということが判明し、言ってみればそれほど大それた技術ではないので、手間暇さえかければ何とかなる。

…とそんなふうに思いながら、巡回診療に来た人たちが使っている杖を見ると写真のような状態なのです。

杖としてはまだ使える。でもその先につけているゴムがダメになっている。ガシガシと歩くので、ゴムがすり減り、底が抜け、体を成していない。でもそのまま彼らは使い続けている。

だからそのゴムだけでもあれば、助かるのではないか。ということは、杖を作って渡すより、安くあげられる。

いや、もちろん杖を渡すことはやぶさかではないのです。でもこのゴムだけでも役に立つし、予算を減らすことができる。

このゴムが使えなくなった状態の杖を今までも嫌というほど見てきたはずなのに、思いつかなかった。それを思いつかない私の頭はバカだったのか？

田舎の道は舗装されていないことも多い。泥と石ころの道を歩くにはこのゴムはなくても大丈夫かもしれない。でもどんなに田舎だって、建物の中に入ればコンクリで固められているし、床が滑る。だからこのゴムはどうしても必要なわけで、だけどそうかそうか、ゴムだけでもいいんだなと気が付いて、なんだか少し気が楽になった。