【第11弾】蘇る六代目の舞台、小津安二郎『鏡獅子』を次世代へ。

支援総額

4,494,000

目標金額 4,000,000円

支援者
290人
募集終了日
2022年10月26日

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2022年11月21日 16:49

【映画台本】作品リストご紹介9(展示「日本映画を走る列車」)

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。
 

現在、1万円以上ご支援下さった方に、当館が所蔵する台本を保護する、スタッフ手作りのカバーにお名前を記載するというリターンについて、ご希望をお伺いするメッセージを順次お送りしておりますので、その折はぜひメッセージの内容をご確認下さい。

 

映画リストと並んで人気の【歌舞伎・新派・新喜劇台本】作品リストはこちら

 

さて、今回充実した連載を続けてまいりました「【映画台本】作品リスト」ですが、最後のご紹介は、9-10月閲覧室展示「日本映画を走る列車―鉄道開業150年―」関連作品よりセレクトした台本リストです。

 

【映画台本】作品リストはこちら
【寅さん台本】 作品リスト全50作はこちら
 

本年、明治5年[1872]年10月14日に東京新橋と横浜間を結ぶ鉄道が開業してから、今年で150年目の節目を迎えましたが、これを記念して鉄道をテーマに閲覧室展示を開催しました。
今回の第11弾でも「【映画台本】作品リスト」にこのテーマに沿った1950年代から2010年代までの名作・話題作の台本を、選りすぐってリストにとりあげております。

 

写真は「閲覧室展示「日本映画を走る列車‐鉄道開業150年‐」関連作品の台本です。
(※番号は台本作品リストの番号です)

左上より
302 『山鳩』 1957年 丸山誠治(監督)
303 『集金旅行』 1957年 中村登(監督)
304 『張込み』 1958年 野村芳太郎(監督)
305 『喜劇 駅前旅館』 1958年 豊田四郎(監督)
306 『大いなる旅路』 1960年 関川秀雄(監督)
307 『大いなる驀進』 1960年 関川秀雄(監督)
308 『特急にっぽん』 1961年 川島雄三(監督)
310 『雪国』 1965年 大庭秀雄(監督)
311 『喜劇 各駅停車』 1965年 井上和男(監督)
312 『なつかしい風来坊』 1966年 山田洋次(監督)
313 『逃亡列車』 1966年 江崎実生(監督)
314 『喜劇 急行列車』 1967年 瀬川昌治(監督)
315 『喜劇 団体列車』 1967年 瀬川昌治(監督)
316 『旅路』 1967年 村山新治(監督)
317 『喜劇 初詣列車』 1968年 瀬川昌治(監督)
318 『喜劇 大安旅行』 1968年 瀬川昌治(監督)
319 『どですかでん』 1970年 黒澤明(監督)
320 『家族』 1970年 山田洋次(監督)
321 『父ちゃんのポーが聞こえる』 1971年 石田勝心(監督)
322 『約束』 1972年 斎藤耕一(監督)
323 『塩狩峠』 1973年 中村登(監督)
324 『砂の器』 1974年 野村芳太郎(監督)
325 『新幹線大爆破』 1975年 佐藤純彌(監督)
326 『動脈列島』 1975年 増村保造(監督)
327 『皇帝のいない八月』 1978年 山本薩夫(監督)
 

328 『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』 1981年 りんたろう(監督)
329 『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』 1981年 熊井啓(監督)
330 『海峡』 1982年 森谷司郎(監督)
331 『シベリア超特急』 1996年 水野晴郎(監督)
332 『映画ドラえもん のび太と銀河超特急』 1996年 芝山努(監督)
333 『鉄道員 ぽっぽや』 1999年 降旗康男(監督)
334 『ドラゴンヘッド』 2003年 飯田譲治(監督)
335 『約三十の嘘』 2004年 大谷健太郎(監督)
336 『交渉人 真下正義』 2005年 本広克行(監督)
337 『地下鉄に乗って』 2006年 篠原哲雄(監督)
338 『旅の贈りもの 0:00発』 2006年 原田昌樹(監督)
339 『秒速5センチメートル』 2007年 新海誠(監督)
340 『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』 2007年 長石多可男(監督)
341 『わたし出すわ』 2009年 森田芳光(監督)
342 『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 2010年 錦織良成(監督)
343 『婚前特急』 2011年 前田弘二(監督)
344 『奇跡』 2011年 是枝裕和(監督)
345 『阪急電車 片道15分の奇跡』 2011年 三宅喜重(監督)
346 『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』 2011年 蔵方政俊(監督)
347 『僕達急行 A列車で行こう』 2012年 森田芳光(監督)
348 『起終点駅 ターミナル』 2015年 篠原哲雄(監督)
349 『烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE』 2015年 渡辺勝也(監督)
350 『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』 2018年 吉田康弘(監督)
 

鉄道は、映画という舞台に、実にさまざまな形で登場します。劇中の移動手段としてはもちろん、列車の形や走る姿、走行音がシーンの背景として大きな効果を生み出したり、そして時にはストーリーの要として役者と同等の存在感を発揮したりすることも。

 

地域の風光明媚さを見せる側面を持つのも鉄道映画の魅力です。家賃回収の名目で男女ふたりがさまざまな土地を巡る『集金旅行』(1957年)はまさにそれが生かされた映画で、岡田茉莉子と佐田啓二が巡る各地の風景は、まるで一緒に旅をしているかのように観客を楽しませてくれます。

 

また乗物特有の、車両の中という空間と目的地までの到着という限られた時間は、劇中で多くの効果を生み出してくれます。列車を乗っ取られる『新幹線大爆破』(1975年)や『皇帝のいない八月』(1985年)といったサスペンスではその狭さが緊迫感をかきたてる要素となり、『約束』(1972年)で描かれた、看視官付で仮出所した女囚と逃亡中の強盗犯の列車内での出会いと別れは、その空間ゆえにふたりの情熱が増していくかのようです。

 

日本映画においては、鉄道が登場する喜劇作品も人気を呼びました。瀬川昌治監督はその一端を担った監督で、鉄道が舞台の監督作品はその代表作にあげられます。フランキー堺主演の『喜劇 大安旅行』(1968年)をはじめとした「旅行」シリーズや、渥美清主演の「列車」シリーズ(『喜劇 急行列車』(1967年)『喜劇 団体列車』(1967年)『喜劇 初詣列車』(1968年))はいずれも観客を笑いの渦に巻き込み、ヒットとなりました。

 

なかには、物語の冒頭に鉄道が登場することでストーリーが展開していくサスペンス映画も。『砂の器』(1974年)や『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(1981年)は、どちらも列車事故を発端として映画の世界へ観客を誘っていきます。『ドラゴンヘッド』(2003年)は、突然文明が崩壊した世界で生き抜こうとする高校生たちの物語ですが、冒頭の新幹線事故がその序章となりました。

 

また、列車はさまざまな人が乗車することから出会いが生まれやすく、群像劇にも適した舞台です。東京発長崎行の夜行特急「さくら」に乗車した国鉄職員を中心とした車内での群像劇が描かれる『大いなる驀進』(1960年)や、トワイライトエクスプレス内で詐欺師たちが騙し合う『約三十の嘘』(2004年)、そしてローカル線に乗り合わせた人たちの小さな奇跡を描いた『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011年)は、その醍醐味が味わえる映画です。

 

駅や列車で働く人間の生きざまを描いた作品も鉄道映画の魅力のひとつです。『大いなる旅路』(1960年)は大正から戦後昭和にかけ、岩手・盛岡で国鉄運転士として生きた男の一代記で、『鉄道員 ぽっぽや』(1999年)は北海道の雪深いローカル線の終着駅で、幼い一人娘や妻を亡くしながらも鉄道員(ぽっぽや)として生きることに人生を捧げた男の姿が描かれた作品でした。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(2010年)は、エリートサラリーマンが49歳で退職し、故郷のローカル列車の運転手になる夢を叶えるべく奮闘する物語で、島根の一畑電車(バタデン)が舞台となっています。

 

そして鉄道好きの監督と言えば、森田芳光監督です。遺作となった『僕達急行 A列車で行こう』(2012年)は、関東や九州、各地の電車が多く登場し、電車好きの二人の主人公はじめ登場人物たちにも電車の名称に関した名前がついており、ストーリー全体のテーマとなっています。

また、松竹で数々の名作を送り出し、昨年12月に監督生活60年を迎えた山田洋次監督も鉄道好きで知られており、『なつかしい風来坊』(1966年)や『家族』(1970年)などその監督作によく登場しています。『男はつらいよ』シリーズも例にもれず、特に第5作目『男はつらいよ 望郷篇』(1970年)では、函館本線を走る蒸気機関車「D51」を寅さんが車で追いかける名場面があり、鉄道と寅さんを語る際には必ずあげられるシーンです。こちらの台本は、「【寅さん台本】 作品リスト」にございますので、是非こちらもご覧ください。
 

▽【映画台本】作品リストはこちら
▽【寅さん台本】 作品リスト全50作はこちら
 

みなさまも、印象に残る映画の鉄道シーンがそれぞれおありになるのではないでしょうか?是非この機会にお好きな作品の台本カバーにお名前を入れてみませんか?

 

 

最後に、鉄道はその特殊な環境ゆえに、撮影にはさまざまな工夫や苦労があることも。そんな苦労がしのばれる資料をひとつご紹介します。
野村芳太郎監督のサスペンス映画の傑作『張込み』(1958年)は、殺人事件の犯人を追う刑事たちが横浜駅より列車に乗り込み、暑さや混雑に耐えながら一昼夜かけて犯人の潜伏地・佐賀へ向かう場面が冒頭で描かれますが、この『張込み』のスクラップブックには、列車内での撮影について書かれた新聞記事が複数貼り込まれています。

『張込み』スクラップブック

 

左側の新聞記事(デイリー)は、列車内での撮影を伝えるものです。見出しに「ぶっつけ本番の連続 松竹『張込み』ロケ第一報 走る列車内で撮影進む」とあります。この記事で野村芳太郎監督は、「この映画は、どんな画面にしろ、観客にウソだと感じられたら面白さが半減する性質のものだ」と述べています。その言葉通り、ロケは実際のダイヤ通りに走る列車に揺られながら行われ、到着まで23時間、主役の大木実、宮口精二を含めた多くの映画スタッフが寝ずに撮影したそうです。各駅での停車時間は約3分、一番長い広島駅でも約6分だったと書かれており、いかに「ぶっつけ本番」だったかがわかります。当時のリアルな撮影状況をよく伝えてくれる資料です。
こちらの資料は、当館閲覧室にてご覧になれますので、ご興味ある方は前日までにご予約の上ご来館くださいませ。
 

以上、計9回にわたって【映画台本】作品リストをご紹介いたしました。各紹介を以下にまとめましたので、是非以前の記事もまたお読みいただければ幸いです。

 

【映画台本】作品リストご紹介1(小津安二郎)
【映画台本】作品リストご紹介2(木下惠介)
【映画台本】作品リストご紹介3(衣笠貞之助)
【映画台本】作品リストご紹介4(五所平之助)
【映画台本】作品リストご紹介5(飯田蝶子)
【映画台本】作品リストご紹介6(志村喬)
【映画台本】作品リストご紹介7(佐分利信)
【映画台本】作品リストご紹介8(山田五十鈴)

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