【第11弾】蘇る六代目の舞台、小津安二郎『鏡獅子』を次世代へ。

支援総額

4,494,000

目標金額 4,000,000円

支援者
290人
募集終了日
2022年10月26日

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2022年12月01日 12:58

株式会社松竹映像センターさんでのグレーディング作業見学

おはようございます。松竹大谷図書館の武藤です。


昨日11月30日の新着情報では、画修整の作業の見学レポートをご報告致しましたが、今回は、同じく株式会社松竹映像センターさんにお邪魔して見学させて頂いたグレーディング作業についてご報告致します。

 


株式会社松竹映像センターのあるお台場ガーデンシティビル

 

「グレーディング作業」とは、映像コンテンツの制作過程において、動画や静止画の輝度・色彩を調整する作業のことです。今回のようなモノクロフィルムのデジタル修復作業の工程でも、フィルムの経年劣化により、明るさやコントラストにずれが生じた映像を、時間の経過も考慮しながら、デジタル上で補正する作業が必要となります。今回は公開当時の画調を目指して行われたグレーディングを見学させて頂きました。

 


手前)近森眞史キャメラマン、奥)松竹映像センターの安澤翔太さん


グレーディング作業の最終段階では、上映と同じようにスクリーンに映写して映像をチェックしながら作業をします。映画作品の場合、このチェック作業では撮影監督に監修していただき画調を調整していきます。これまでの小津作品のデジタル修復におけるグレーディングは、当時小津作品において撮影助手であった川又昂キャメラマンと、川又氏に師事し、現在山田洋次監督作品の撮影を担当されている近森眞史キャメラマンが監修をされてきました。


そして、今回の『鏡獅子』も、近森キャメラマンに監修をして頂き、より完成度の高いものを目指します!

 

こちらがその作業チェックが行われた、松竹映像センター内のスクリーンを完備したラボの様子で、ミニシアターのようになっています。作業自体は部屋の後方に設置されたパソコンのディスプレイ上で行い、モニター画面でも確認ができますが、上映とは映像の出力方式が異なるため、グレーディングの最終チェックは上映と同じようにスクリーンに映写して作業をします。映画は劇場で上映された時に一番良い状態で映像や音声が出力されるように作られているので、劇場と同じいわば「シアター環境」のもとで作業をする事はとても大事なのだそうです。

 


映画館にあるような座り心地の良い椅子に座ると、「では、始めます」の声と共に、スクリーンに「鏡獅子」の映像が流れ始めました。歪みが生じてしまったフィルムから取り込まれた映像ですが、修復作業を経て揺らぎなどは全く感じられず、大きなスクリーン上で見ても綺麗になっている映像に驚きます。武藤と同行した図書館スタッフが喜んで映像を観ている最中も、近森キャメラマンは「はい、ここ」と何度も細かく映像を止めて、「白を強く」「黒を強く」「黒をしめたまま明るく」「コントラストを強く」などの細かい具体的な指示を出して画像の調整を進めていきます。


作業を拝見する前は、画像全体に対して明るくしたり、コントラストを強くしたりなどの調整をするのだと思っていましたが、フィルムの化学変化による劣化は、部分的に暗くなるなどのムラになって生じている事が多いため、映像の劣化部分を見極めて範囲を指定して、細かく調整をしていきます。範囲を指定する方法をディスプレイ上で見せて頂きましたが、調整したい部分を描画するとその範囲内の輝度を上げたり下げたり、コントラストを調整することが出来るそうです。また、調整した部分が目立たないように、境界を瞬時にぼやかして、調整箇所を馴染ませる作業も見せて頂きました。

 

 

顔をカバーするように円形に範囲を指定して、顔だけを部分的に明るく調整

 

 

映像の上側や右側など、舞台の暗い部分だけを範囲指定して明るく調整

 

 

舞台を際立たせるために、客席の範囲だけを指定して暗く調整

 

 

画像データは作業前に撮影カットごとに分けられています。ある程度ソフトで分ける事が出来ますが、最終的には手作業でコマの画像を確認しながらカット別にわけるそうです。1つのコマに修正が入ると、そのコマを含むカット全体にその設定が適応され、この機能により、同一カット内のコマを同じ状態に瞬時に調整することが可能になっているそうです。また、類似する映像のカットをその場で指定する事で即座に同じ設定が反映されるそうです。

 


ディスプレイに帯状に各カットのサムネイルが並んでいる。右上は、作業の履歴

 

作業後、近森キャメラマンに、今回の「鏡獅子」の修復作業で一番大事にしている事を伺いました。


歌舞伎の舞台の豪華絢爛さが伝わるようにする事、歌舞伎座の劇場の広さや客席の椅子の贅沢な作り、菊五郎の衣裳の模様や素材の質感、獅子の毛の優美さなど細部にこだわった部分をきちんと見えるようにする事で、伝統芸能の粋が尽くされた色彩豊かな舞台をモノクロの映像からも感じられるようにしたいというお言葉を頂きました。

 

また、今回の4Kデジタルプロジェクトの総合監修をしていただいている、数多の松竹作品のデジタル修復版・総合監修の実績を持つ松竹映像センターの五十嵐真氏は、これまでの経験や、アメリカの修復での逸話などから、どこまで手を入れるかという事の重要性をお話下さいました。綺麗に修復するといってもデジタル加工をし過ぎてツルツルの映像になってしまっては旧作の良さが失われてしまいます。あくまでも修復であって、撮影当時の画調を目指す事が大事である事が分かりました。特に今回は、昭和10年の歌舞伎の舞台を映した記録映画であることを意識して作業が進められている事を感じました。

 

さて、六代目尾上菊五郎の舞台が、小津安二郎の記録映画がどこまで蘇ったのか?
明日はいよいよ初号試写第一回目の開催となり、支援者様及び関係者をお招きして、スクリーンで『鏡獅子』デジタル修復版を上映します!
試写会の様子はいずれ新着情報でご報告致しますので、皆様もどうぞご期待下さい!!   

 


左から)近森氏、武藤、五十嵐氏

 

これまでの株式会社松竹映像センターさん関連の新着情報もぜひご覧ください
  9月  8日 新着情報】 「株式会社松竹映像センターさんについて」
11月28日 新着情報】「株式会社松竹映像センターさんでの音修復作業見学」

11月30日 新着情報】「株式会社松竹映像センターさんでの画修復作業見学」

リターン

3,000+システム利用料


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活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載

■サンクスメール
■松竹大谷図書館HPへのお名前掲載(ご希望の方のみ)
■報告書(2023年4月末に送信予定)

申込数
63
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年4月

5,000+システム利用料


松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー『鏡獅子』完成台本表紙デザイン

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー『鏡獅子』完成台本表紙デザイン

3,000円のリターンコース内容に加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー
当プロジェクト限定!
当館所蔵『鏡獅子』完成台本(昭和25年編集版)表紙デザイン

申込数
95
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年4月

3,000+システム利用料


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活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載

■サンクスメール
■松竹大谷図書館HPへのお名前掲載(ご希望の方のみ)
■報告書(2023年4月末に送信予定)

申込数
63
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制限なし
発送完了予定月
2023年4月

5,000+システム利用料


松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー『鏡獅子』完成台本表紙デザイン

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー『鏡獅子』完成台本表紙デザイン

3,000円のリターンコース内容に加え、
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当プロジェクト限定!
当館所蔵『鏡獅子』完成台本(昭和25年編集版)表紙デザイン

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