「晩春」修復作業～ニューヨークより～ その一

「晩春」修復プロジェクトサポーターの皆様

 

さっそく修復作業の為にシネリック社へ向かいます。

米国で老舗の映画修復会社、シネリックは、ニューヨーク市のマンハッタン島に社を構えています。有名なタイムススクエアからも徒歩で10分くらいの９番街にあります。

 

 

 

立ち並ぶビル群。その側面にFILM CENTERの文字が見えてきました。

下の写真が、数々のハリウッドの作品のみならず多くの名作たちを修復し、世に送り出してきたシネリック社の玄関です。このビルには、映画全盛期に数百の映画プロダクションが入っていたそうですが、現在はシネリック社の一社だけになってしまったそうです。以前も登場したエリックさんが歓迎してくれました。

 

 

 

さっそく、会社の中を案内してくれることになりました。

写真の左側にいる方（暗くてすみません）が以前メッセージも頂いたシネリック社の創始者でもあるバラジ・ニアリ社長です。奥に見える機械が、今回「晩春」を修復するために使用した４Kスキャンのカメラになります。右側の写真の方はプリントの状態を確認するヤノス・ピレンイさんで、この方はスコセッシ監督の「タクシードライバー」のポストプロダクションも手がけ、その後、自ら修復もされた方です。

 

 

 

オフィスの中は雑然としていますが、映画ファンにはたまらない作品の数々があちらこちらに置かれていました。

 

 

 

今回の修復は４Kと言う巨大なデータを取り扱うため、非常に高速で情報を処理しなければなりません。そのために超高速のコンピューターが必要で、温度管理の徹底されたガラス張りの部屋（左の写真）に置かれていました。

右の写真は、インドの修復会社から送られてきた、パラ（付着物）やキズが消されたデータをさらにチェックして、より良いものへ仕上げるために一つ一つのコマに手を入れているところです。

 

 

 

次回は、映写室から細かな調整作業の様子をお伝えしたいと思います。

 

「晩春」デジタル修復プロジェクト