ご支援いただいた皆さまへの感謝

 

ご支援いただいた皆さまへ

2月23日から約２ヶ月の間、応援、ご支援いただきまして本当にありがとうございました。

元々、無理を承知で気持ちと勢いだけでやっているフリーランスだけに、自分なりの状況判断で、ウクライナに戻り写真集制作のために足りていない写真の追加撮影や現地から人々の様子を伝え、情報発信するなど、このプロジェクトを立ち上げ、軌道に乗せたら、本来自分がやっていることに戻り、続けることでさらに大勢の人に応援してもらえたらと考えていました。

 

資金力のない家族持ちのフリーは息しているだけでも金がなくなっていくので、時間やタイミングは何よりも大事でした。収入、生活費、活動資金などを考えるとウクライナに戻って撮影できるタイミングはかなりきわどく、収支ではマイナスでも前に進めないと、さらに家族に経済的負担をかけながら予定が後ろにズレ込んで長期化していくのを感じていました。博打のようですが自分の人生にとって大切だと思うことのために前に進もうとする気持ちは理屈ではなく、それをやってきた結果が今回のプロジェクトにもつながっていました。

日本の組織の失敗しないよう、問題が起きないように過剰に予防線を張って挑戦することをやめさせる文化、世界から見たら小さなことでも心配しすぎ、考えすぎ、真面目さや勤勉さが裏目に出てしまっている印象でした。大勢の人に関わってもらって何かを実行する難しさを痛感しながら、苦悩の日々となりました。

 

一方でクラウドファンディングというインターネットを使った取り組みを経験することで、すべての発言や行動がどのような結果につながるのか、情報の発信と閲覧数、人の流入数や流入元のデーター、全ての数字が可視化され、Googleの広告が差し込まれる方法や理由など、自分や関係者が何をするとどうなるのかを答えあわせをしながら理解していくのがとても興味深く、21世紀を感じることができてとても勉強になりました。

 

今回、写真や伝えることについても見直す機会になりました。

今までは、写真自体に力がないと言葉をたくさん散りばめ、理屈で写真を飾らないと成立しないと考えていた反面、写真に力があれば多弁にならずとも写真自体が全てを語ると思い、後者を目指しあまり自分や写真、その中のストーリーについて周りの人以外には話しをしてきませんでした。前に進み続けるだけで振り返ることもほとんどしてきませんでした。今回のプロジェクトを立ち上げるにあたって初めて過去に向き合ってきたこと、その時々に感じた気持ち、道の途中で出会い、お世話になった方々との日々や自分について振り返る機会をいただきました。

 

まだ追加撮影などもあり、写真集は来年の2月末を目処にお届けすることができたらと考えていますので、いましばらくお時間をいただくことになりそうです。

 

このプロジェクトの走り出すきっかけになった方々、立ち上げから仕事の時間を削って一緒に関わってくれた方々、懸命に応援してくださった方々、ご支援くださった皆様には本当に感謝を申し上げます。

 

桜の時期は終わってしまいましたが、少し前にはウクライナでも桜が満開だというニュースがありました。2017年に始まった日本政府の植樹キャンペーンでウクライナ全土に植えられたそうです。キーウからオデーサに向かう夜行列車で同室になったビジネスウーマンのエレナとメッセンジャー上で桜の話題になった時、彼女は桜のことを「sakura」と呼んでいました。

現在、東部ドンバス地方で反転攻勢に向けて待機中の兵士レックスは「戦争が終わったらオデーサの家の近くに桜の木を植えるんだ。その日が来るのを楽しみにしている」とメッセージをくれました。

 

皆様からいただいだウクライナへの祈りや想いも抱えて現地に向かい、人々に届けられるよう頑張ります。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2023年4月23日　佐々木康