五寅の福！

　昔から「三寅の福」を受けて生まれた男の子は、大人になるとたくましい指導者になると言われています。

　三寅とは、「寅年・寅の月・寅の日・寅の刻」の内、三つを満たせば良いのだそうです。

　竹千代はそれらすべての条件を満たし、さらに寅年でも最高とされる「壬（みずのえ）寅」年に生まれました。

　その昔、占星術が社会の基準であったころ、上記の寅の条件全てを満たした竹千代は、言ってみれば「五寅の福」を持って生まれた〝カリスマ赤ちゃん〟だったというわけです。

　今川にしても織田にしても、そんな強い星の下で生まれた竹千代を自分の所で育てて大名の片腕にしたかったのです。両家が竹千代を奪いあいをしていた理由（わけ）は意外なところにありました。