いよいよ始まりました

今回の御支援での工事の第一段として寛政蔵に続く石畳の修復が始まりました。

この石畳は9年前の熊本地震の後、寛政蔵をリニューアルするときに設置しました。

熊本地震の折り、多くの家屋が倒壊しました。昔の建物は基礎石を置いてその上に建物を建てていました。今は基礎工事をしますので、新しく家を建て直すときにはその基礎石はいらなくて空き地にいっぱい積み上げてありました。

うちの庭の手入れをお願いしている渡辺庭園さんから「あの基礎石はもらった方がいいですよ、きっと役に立ちます」とアドバイスを頂き、タダで貰ったり、一本3,000円で買ったりして400本ほど確保しました。山都町には石屋さんが多く、付き合いの藤原石材店に石は保管してもらい寛政蔵工事の時に石畳や、寛政蔵玄関の敷石、カウンターの基礎石になりました。まだ多くの石を保管されており今回の修理に使います。

さて九州の地層は阿蘇山の噴火時期によって　Aso-1 26万年前　Aso-2　14万年前　Aso-3　13万円前Aso-4　9万年前　と分けられます。通潤橋の石はAso-1のみを使っています。Aso-1の石は地層の最下層に有り固められ硬い石になっていますがなかなか掘り出すのが難しく、通潤橋では浸食された川の底石を使ってます。Aso-4の石は表面にあることが多く、とりやすいのですがもろいのが難点です。今回損傷していた石はAso-4のものと思われます。

地震の時の頂いたそれぞれのおうちの基礎石ですので、取得時期も取得場所も違いそれぞれ違った石でした。普通石畳は同じ石切場から採られて均一になりますが、今回の石はAso-1から4まで混ざっており、石畳にした時に景色が生まれました。熊本県の東陽村にある石匠館の先代上塚館長がおいでになったときに、「これはAso-1、これはAso-3、全部ある、こんな石畳は無いねー」と興味深げに話されていました。

寛政蔵にプロムナードの石畳はこのような背景をもち、熊本地震の記憶という意味では貴重なものです。おいでになられたら是非確認しながら歩いてみて下さい。

皆様の御支援で破損箇所の修繕が行われ、お客様に説明しながらまた楽しんで頂くことが出来ます。

心から感謝申し上げます。