フィリピンで見たこと

3年前のことですが、NGOのスタディツアーでフィリピンのイロイロに渡航しました。私の東南アジア学習の始まりです。

 

 

ローカルと都市の境界

 

東南アジア諸国の中でも文化や経済の格差が大きいフィリピン。マニラ首都圏と地方部、街の中心部と一本外の路地。一歩またげばガラリと空間が変化します。

 

イロイロでは、伝統的な竹の家で暮らす家族の下でホームステイをさせていただきました。撮らせていただいた料理風景がこちら↓

 

編み込まれた竹の壁、丸い木のまな板、プラスチックの腕。伝統性と現代性が交わる様がとても面白かったです。もとあるものを活かしつつ、現代的な要素も取り入れてアレンジするスタイルは、発展途上のフィリピン社会を凝縮したような印象でした。

 

東南アジアではありませんが、北海道のアイヌがチタタ(プ)を作る時にも同様のまな板が使われていました。木の幹を地面に対して水平に切り出せば、木の繊維が食材に混ざりにくい。たしか中華の台所にもありますよね。直接的な繋がりはないかもしれませんが、自然を活用したシンプルで洗練された器具なのです。

 

 

西の名残

 

フィリピンは16世紀から300年間にわたってスペインの支配下に置かれていました。スペインの文化は当時の私の想像よりはるかに深く、現地に行って初めてスケールがわかりました。

 

 

教会など建築は観光名所として情報が多くでています。現地で見てみると、西洋式の建築だけでなく、熱帯地域の植物や天候と合わせて境界を見ることになります。二つの異なる地域の文化の融合を空気で感じることは、植民地期という時代の解像度をグッと上げることに役立ちます。

 

スペイン要素は言語にも。ホームステイさせていただいた家庭で、おばあちゃんと草で鳥を編み終わった時のこと

 

 

" Victoria "とおばあちゃんが一言。私は言語学が専門ではないので詳細は分かりませんが、音がタガログや現地の言葉と異なり、西洋的な印象は感じ取れました。スペイン語とフィリピンの言葉を全く知らずに渡航しましたが、言葉にも植民地期の名残が残っている可能性に直感で気づき、今でも記憶に残っています。

 

 

人々が編んだ今

 

私はフィリピンの人々の文化創造性に着目し、それを広めたいと思いました。支配された側の文脈ではなくて、困難があってもそこにあるものを編み上げて進んできた強い力を、多くの人々に伝えたいです。日本統治時代含め植民地支配を無かったことにしてしまうのではなくて、植民地期について学んだ上で、さらなる協力を促進すると言う意味です。

 

背景は異なりますが、困難な状況から身近なもので前に進むと言うフィリピンの姿勢は、現代日本で自信をなくしてしまっている若者が生きるヒントにもなりえます。この時に私がしたような「アジアに対する解像度の変化と生き方のヒントを学ぶ」経験を、より多くの人に届けられたら嬉しいです。