作品メンテナンスのご報告（壁をよじ登る男、後ろ手に立つ人物）

平素よりお世話になっております。

 

11月16日、17日に、ジュリアーノ・ヴァンジの2作品おいて、作品メンテナンス作業を実施いたしましたので、ご報告させていただきます。

 

1. 壁をよじ登る男

 

《壁をよじ登る男》は、ジュリアーノ・ヴァンジの初期の代表作のひとつです。

1970年に制作された本作は、そのどこかユーモラスな表情なども相まって、当館でも非常に人気のある作品となっています。

2013年頃撮影

 

今回は、全体のメンテナンスではなく、指の一部が剥落したことを受け、取れてしまった指の修復を行いました。

また、顔や手、足に塗られた白い顔料も剥がれてきてしまっていました。触ると、顔料がぽろぽろと落ちてきてしまう状況でしたので、今回のメンテナンスではその剥がれを抑え、一部リタッチを行っていただいています。

 

　

　

修復前（部分）

 

 

指もきれいに！

 

 

以前よりも顔や手足の表情がはっきりと見えるように。

また指の剥落以降、触っての鑑賞もご遠慮いただいておりましたが、修復完了いしましたので、ぜひお越しの際は、やさしく触ってご鑑賞もいただけます。

 

2. 後ろ手に立つ人物

 

《後ろ手に立つ人物》は、堆積岩の一種である砂岩によって制作されています。

比較的柔らかな素材であること、吸水性の高い素材であることもあり、風化とともに汚れがかなり蓄積されていました。

 

　

メンテナンス前

 

今回も《顔に手をやる女》などを対応いただいた業者さんにお願いし、汚れを洗浄したのち、コート剤を塗布いただいています。

また、風化によって、触ると砂粒が落ちてしまっていました。今回、風化を防ぐために強化剤も使用しています。

 

 

真っ黒だった作品が、本来の姿である薄いピンク色に。

これまでわからなかった石の模様などもはっきりとわかるようになりました。

 

ーーー

 

今回の作業で、作品へのメンテナンスは完了となります。

皆様のご支援のおかげで、当初希望していた3点から、8点の作品メンテナンスを実施することができました。

改めまして、心より感謝申し上げます。

 

いただいたご支援で実施する作業の完了はもう少し先になりますが、年内にすべての作業が完了となります。

ご支援の使い先の詳細については、ご支援いただいた方に向け、改めてご報告をさせていただきます。

 

引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。