〜実行委員からのメッセージをお届けします〜

　この度、令和6年能登半島地震により被災されたすべての皆さまへ、心からお見舞いを申し上げます。皆さまのご無事と安全を心よりお祈りいたします。

　2024年1月1日の地震発生時、私は車で帰宅中でした。家に着いて慌ててテレビを付けたところ、NHKのアナウンサーが強い口調で呼び掛けていました。

「東日本大震災を思い出してください！」

「テレビを消して逃げてください！　いや、消さなくていいです。今すぐ逃げてください！」

（※参考記事：「東日本大震災を思い出してください！」その時、ことばで命を守れるか。NHKアナウンサーたちの10年→こちら）

　この文章を書いている今でも思い出される、1995年の阪神淡路大震災の朝の、高速道路が横倒しになった映像。2011年の東日本大震災直後の、津波の映像。私はどちらも直接の被災者ではありませんでしたが、試験や授業が中止になったり、計画停電の影響で通院できなくなるなど、震災の影響を肌身で体験しました。あのときの感覚が蘇り、手足が冷たくなるのがわかりました。

　ただ今回違ったのは、複数のテレビ局が手話通訳者を表示していたこと。また、ひらがな、英語、ポルトガル語、韓国語、中国語など、多言語のフリップを出してアナウンスしているテレビ局があったことです。

「緊急報道とは、すべての命を救う取り組みであるべきだ。またそうありたい」そんな意志を感じる報道を見つめながら、私は過去の震災を思い出し続けていました。あの時、私は誰に何を伝えてほしかったのか？　何を伝えてもらえれば、少しは安心できたのか？　そして今の私は、誰に何を伝えることができるだろうか？

　セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会（以下、セクマイ大会）の情報保障にかかわる中で「私たちの社会が誰にとって便利に設計されているか」を考える機会を持てたことは、私にとって財産です。そして便利に過ごせている自分が、不便を感じている人にできることは何か？

　セクマイ大会では過去最高の全18分科会すべてに、手話通訳・文字通訳を用意しています。ひとりの人間にできることは多くありません。しかし寄付という形で情報保障にご協力いただくこと、あるいはお知り合いに共有いただくことで、より多くの人にこの取り組みを届けたいと考えています。

　繰り返しになりますが、ひとりの人間にできることは多くありません。それでも私たちは無力ではありません。よりよい社会を目指すプロセスそのものが、私たち一人ひとりの実践です。共に実践を積み重ねるべく、情報保障にご協力いただけますと幸いです。