CHOP6週目サイクロフォスファマイド

こんばんは。

昨日8回目の抗がん剤投与に行って参りました。画像の通り、非常に体調の悪い中での投与となりました。

 

まず、先週の経過を報告します。ムチ子は先々週の金曜日の通院後、全く食べなくなってしまい、先週火曜日のビンクリスチン投与後から強制給餌に踏み切りました。

 

強制給餌は本来短期間の実施を念頭に置いて行われるものであり、あくまで自発的な食事を促す方法に過ぎません。猫は特に、強制給餌による食物嫌悪の発症や更なる食欲不振の危険性があるため、経口からの強制給餌を推奨していない医療機関もあります。ですが、ムチ子は完全に食欲廃絶状態で、僅か３日でガリガリになってしまっていました。体重減少と低栄養は、がんの進行を促し、抗がん剤の効果も減少させるため、先生からは家庭で頑張って欲しいと言われました。

 

そのため毎日朝晩、フィーラインナチュラルのラム&キングサーモン6gに、同じくフィーラインナチュラルのサプリ1粒を入れて、ぬるま湯を加えてムース状にしたものを、少しずつ何個かに丸めて、口に入れて嚥下させて行きました。これは、タンパク質：脂肪：炭水化物の割合が4：3：2に近く、かつ、私が知る限り最も少ない量で、健康な成猫の摂取量の半分を摂ることが出来る総合栄養食です。

 

しかし勿論、食欲がない上に吐き気も酷い中で無理矢理食べさせられるのですから、ムチ子は抵抗します。私は猫パンチを食らったり、噛み付かれたり、血みどろになりながら、

 

「良いぞムチ子！！強いぞムチ子！！その調子だ！！敵(病気)がムチ子の縄張りを奪いに来てるぞ！！倒すんだ！！行け、ここで猫パンチ！！ムチ子の体は、ムチ子の一番大事な縄張りだ！！絶対に渡しちゃいけない！！勝てムチ子！！生きろ！！」

 

と声を掛けて、一口飲み込む度に顔にキスをして褒めては、それを繰り返す日々。大泣きしている子供の口に、無理矢理毎日ご飯を入れている状態で、体力精神力共に消耗が激しく、ムチ子も私も食事後には倒れ伏していました。

 

栄養補給のためにMCTオイルを数滴加えたり、乳酸菌サプリを先に飲ませたり、毎日ムチ子と二人で頑張りましたが、やはり次第に拒絶反応が強くなり、フードが視界に入るより前に匂いを嗅いだだけで吐き出す動きをし始めました。

 

日曜の朝には久しぶりにしっかりとした便も出たのですが、下から出そうとすると、上からも出そうになるようで、トイレの中で暫く苦しみ、排泄後はベッドでぐったり動きません。

 

月曜の夜、私はムチ子の口にご飯を入れることが出来ませんでした。無理矢理食べさせても、ガリガリに痩せて行き、ただひたすら疲労と消耗。強い吐き気は10日以上続いていて、衰弱した娘の姿を見て、これはムチ子が望む幸せではないと思いました。鼻も腫瘍が再び腫れ上がって来たようで、ブヒブヒと音を出し始めていました。

 

そして昨日の診療。体重は300gも落ちて2.5kg。あれだけ頑張っても、ムチ子の体に栄養は届いていませんでした。先生も「ムチ子ちゃん、骨髄抑制より消化器毒性がかなり強く出てるね」と。ついこ先日、骨髄抑制で死にかけたのですが、それ以上に悪いと言うことなのか、「食道瘻チューブって方法もあるんだけど、全身麻酔だし、体切ることになるから、抵抗のあるオーナーさんも多いんだよね」と呟くだけでした。チューブからの食物摂取ならば、猫も人間もストレスが軽減されるということで、安定した栄養補給が出来るならば正直すぐにでもお願いしたいと思ったのですが、血液検査結果を持った先生は渋い顔でした。こちらです↓

 

 

すぐに分かると思うのですが、総白血球数が異常値です。先週は2000でした。どうやら、３週間前のサイクロフォスファマイド投与の骨髄抑制の影響で起きたバクテリアルトランスロケーション(腸内バリア破綻による常在菌の胃への流入での細菌感染)が収束しておらず、強い炎症が起きているようでした。収まらない吐き気もそのせいと見られます。先生は、どこか局所的に腸粘膜が傷付いている場所があるんだろうねと言っていました。

 

消化器が正常に機能していれば、チューブによる栄養摂取は可能なのですが、薬で管理出来ない程強い悪心や嘔吐、横伏せになってしまう程体調が悪い場合は経腸栄養法そのものが難しくなるため、静脈点滴による栄養補給をしつつ消化器の回復を待つことになりました。ムチ子は既に吐き気止めの注射を何回も打ち、経口による投薬も行い、抗生物質も飲んでいたにも関わらず、強い悪心に襲われ、座っていることが出来ず横伏せになることが多くなっていたのです。

 

今後の方針を決め、いよいよ抗がん剤の投与です。今回はまた、サイクロフォスファマイド。当初、副作用が出なかった300mg/㎡と、強い副作用が出た360mg/㎡の中間を取って、330mg/㎡での投与を予定していましたが、ムチ子の急激な体重減少により体表面積が縮小したため、300mg/㎡での投与となりました。点滴の時間も、通常より2時間以上多く取って頂きました。

 

腫瘍は、大体１ヶ月の抗がん剤投与で症状自体消失することが多いらしく、先生も小さくなっている手応えはあるものの、元々がかなり大きな腫瘍だったため、症状が残っているという考えでした。

 

夕方迎えに行ったところ、脱水が改善したムチ子は、心なしか少し回復したようでした。

 

先生からは、少しでも良いから食べさせて欲しい、食い意地が張ってる子の方が長生きする、調子が悪かったら点滴に、と繰り返し説明がありました。

 

今回の明細書はこちらです↓

 

吐き気止めの注射はして貰ったはずなのですが、昨晩は追加で抗生物質を飲ませても強い吐き気が収まらず、今朝また抗生物質を飲ませるまでずっと辛そうな様子でした。鼻のブヒブヒという音も、今朝まで続きました。ムチ子はご飯の入ったお皿の前にまで行き、カリカリに顔を近づけ、食べずにUターンのパターンでしたが、食べようとする意欲はあるようで、今もひたすら見守っています。水は投薬時に多めに与えています。

 

ここで、今後の食事をどうして行くかという話になるのですが、私としては今までと同じ方法による強制給餌は中止したいと考え、別の方法を模索しています。勿論食べなければ、死ぬことになります。ですが、現状ムチ子が食事を楽しめているとは言えないため、楽しい時間に変えたいと思っています。

 

ムチ子の食欲廃絶の根本的な原因は、消化器毒性です。これを根治しなければ、食欲増進剤も効果がありません。そのため、この１週間はいかに腸粘膜を修復し、胃の細菌感染を収めるか、そこに重点を置くことにしました。具体的な方法は、効果があるかまだ分かりませんので、随時インスタとこちらで報告させて頂きます。

 

今日のムチ子は、ほぼベッドの上でボーッとしていました。私は、「ムチはまだやり残したことがあるよ。全部やり遂げるまで、少なくともあと12年は生きな」と、触れれば骨が分かる程痩せ細った体を撫でました。

 

12年後、ムチ子が二十歳の誕生日を元気な姿で迎えてくれるのが、私の願いです。