残り16日と最終日までカウントダウンが迫る中で、現在213名もの方々よりご支援をいただいており、達成率83%まで届いています。

 

まだゴールまで到達しておらず緊張して過ごす日々が続いていますが、皆様からの応援コメントから勇気をもらっており、日々感謝と感動の気持ちでいっぱいになります。

もちろん、上記以外にも多くの激励のメッセージをいただいており、言葉の一つ一つに支えられております。研究者としてこのように、“社会で期待して応援してくれている誰か” と、見えない方であっても繋がっていると思えると、今後の研究にも更に力が入ります！最後まで頑張りますので、どうか応援をよろしくお願いします。

 

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さて、本日のLessonでは『光』について光化学を専門とする高野勇太先生に解説していただきます。光にはさまざまな力があります。これをどのように癌治療に応用するかのアプローチを、身近な光の作用などを例にとって説明したいと思います。

 

 

『光』は、今回のプロジェクト研究で非常に重要なトピックです。前編（光で癌を治す！）・後編（ミトコンドリアを狙うPDT）と２週にわたり、お話を提供させていただきたいと思います。今回のLessonは、光化学を専門とされている高野勇太先生（北海道大学・電子科学研究所）に解説して頂きます。それでは高野先生よろしくお願いします！

 

電子科学研究所の高野です。本プロジェクトでは、光をあてることで癌を攻撃・治療する薬を開発します。そこで今回は、なぜ「光」を使うことで癌治療が可能になるのか、身近な光の話を交えてお話ししたいと思います。

 

私たちにとってもっとも身近な光は、太陽光です。身体に浴びると暖かくて気持ち良いですね。また、食べものを太陽光にあて続けると殺菌ができることも古くから知られています。これらは全て「光のエネルギー」のおかげです。

 

 

私たちが良く知る、太陽光により体があたたかくなる現象は、「光のエネルギー」が持つ力のごく一部でしかありません。「光のエネルギー」が私たちの体中の細胞によって「熱のエネルギー」に変わるため、あたたかく感じられるのです。

 

そこでこう考える方もおられるのではないでしょうか？ 光によって発生する熱が十分に大きければ、癌細胞を焼き殺すことが出来るのではないか？ 実際、そのような光治療法（光線温熱療法）も盛んに研究されています。光線温熱療法のもっと身近な例として、光線温熱効果がエステなどで肌のシミやくすみを焼いて除去することなどで使われているようです。

 

光線温熱療法は有望な治療アプローチですが、癌を治療するためにはとても強いレーザー光が必要です。それには大掛かりなレーザー光装置も必要になり、設備も高価になるため、本プロジェクトでは、太陽光が持つもう一つの力に着目しました​​​​​​。

 

「光化学反応エネルギー」と呼ばれるものです。

 

太陽光が細菌やウィルスを殺せるのは、「光のエネルギー」が細菌やウィルスをナノサイズ（Lesson 3: ナノカプセル-前編-｢ナノ｣ってな～に？ ）のレベルでバラバラに分解する力を持つからです。化学者は「光化学反応エネルギー」と呼んでいます。

 

この「光化学反応エネルギー」を癌細胞に対して使うことで、癌細胞をバラバラに分解して、光によって癌を治療することが可能となるのです。この光の力を効率よく使えば、弱い光でも癌細胞を十分に壊せる可能性を持っています。

 

私たちの開発する薬剤は光によって生成する「光化学反応エネルギー」を利用することで、癌細胞（のミトコンドリア）を効果的に分解・攻撃します。分解・攻撃するのであれば、ミトコンドリアに限らず癌細胞のどこでも良いのではないかと考えられるのですが……、その理由は次回お話します。

 

高野先生、『光』を使った癌治療についてわかりやすく説明して頂きありがとうございました。次回のLessonも楽しみにしております！