平成の天皇誕生日によせて　～設計者、星晃さんの思い～

令和も6年目となりますと薄れゆく感が否めませんが、平成時代には12月23日は、天皇誕生日で国民の祝日でした。

そんなこと露知らず、私の子ども達を含めて、現在の小学生以下の子ども達には馴染みのない単なる今日は月曜日、地域によってはまだ授業も行われていることでしょう。（小松市も明日が終業式です）

写真は2015年、北陸新幹線金沢開業の年の5月17日です。

この日はボンネット広場の隣の国道を、天皇皇后両陛下が「全国植樹祭」ご臨席の為、小松市をご行幸されました。

見事な五月晴れだった事を覚えています。

この日に備えて、「準急ちよだ」のヘッドマークを用意して、クハ489-501も少しだけクハ26形ふうにオシャレをしまして、両陛下のご来県に備えていました。

その日のお昼過ぎにお越しになられた方が、実はこのボンネットの生みの親、国鉄副技師長をされた星晃さんと最後にお会いになられた2012年10月のお話を持って、広場に来て下さりました。

全然ご行幸とは知らず、たまたまこの日に来ただけといわれますが、小松の地でこのタイミングで、とても深いご縁を感じました。

ボンネットと現在の上皇さま上皇后さまは、65年前の1959年4月にご成婚されます。

その日、4月10日は確か国民の祝日とされた筈ですが、12日の日曜日の、2日だけ運行された「新婚列車」たるものが、「準急ちよだ」でした。

東京－熱海という短い区間で、当時の国鉄でその区間を走る事は「急行」「特急」に値しない、ということから「準急」設定だったわけですが、その値、というのは今になって、ＪＲでは設定すらなく急行列車も絶滅した今、大変貴重な列車種別でもあり、更には特急形電車を使った、最初で最後の準急列車だという事からも、唯一の存在となりました。

星さんは、2012年12月にご他界されますから、その2ヶ月前、本当に最後の最後、遺言として、クハ489-501の保存に向けて、「何とかしてあげたい」と仰られたとの事でした。

今もその思いは、当局が受け継いで現在に至っています。

更に今、このこだま型に始まる国鉄特急電車で、星さんが国鉄や製造メーカー、電気機器メーカーだけでなく、日本食堂や帝國ホテルといった料理人の意向にも添った設計をされた、国鉄食堂車の集大成たるサシ481を遺すプロジェクトにも、「何とか救ってあげたい」との最後の志を繋ぎたいのです。

先頭車と食堂車、この２つは、国鉄特急のステイタスシンボルです。

共に残し、利活用する事で、上皇さまが橋渡しをされたような気持ちにさせる「小松と特急電車」の繋がりを多くの方に拡げて頂きたいと願っております。

現在、「ちよだ号」のマークは、川崎車輌さん所有のクハ26001にて、毎年4月10日から12日に一般展示されています。

この場を借りて厚くお礼申し上げます！