大橋藍さんから応援メッセージが届きました！

 

「表現の不自由展・その後」実行委員会の皆様には

展覧会の再開にあたって、素晴らしい尽力をしていただき、

本当に有難い気持ちです。

 

自国にふさわしくないとみなす作品は

規制、検閲をして良いといった風潮になってしまった今の日本にとって、

本展覧会は非常に重要な意味をもち、

多くの鑑賞者に、

表現の自由を含んだあらゆる自由、権利が本当に保証されているのかどうか、

思いをめぐらす機会をつくりだしました。

 

また、本展覧会の一端として、同じく不自由展参加作家である

キム・ソギョン、ウンソン夫妻と共に

社会で起きている女性に対する差別やジェンダー平等をテーマとした

トークも行わせて頂きました（不自由展実行委員会＆サナトリウム共催）。

 

そんな「不自由展」での経験は

私が作家として生きていくための大変重要な地肉となりました。

 

展覧会の再開のため、多くの方々の努力があり、

皆様に少しでもご支援いただきたいと思いますので、

こちらのファンディングへのご協力をどうかよろしくお願いいたします！

 

大橋　藍

 

 

【作品解説】

長いタイトルを持つこの作品は二重構造を持っている。本来展示するはずだったかたち、そして検閲で変容したかたちである。

検閲とは、2018年に開催された五美大展(国立新美術館)でのこと。腐敗の怖れありと箱の中の菓子が出品禁止とされたが、一年経った後も腐敗せず、個別包装菓子へのこの懸念はいかにも過剰だったようだ。むしろ、ここから民族問題の主題の拒否が根底にあるとも憶測された。

美術表現では、作家の日常をあらわすため、行動の記録や関わったものなどの痕跡を呈示する手法がある。これは言葉通り即物的で、作家の主観的解釈を含まないだけに社会環境そのものを客観的に示すことできる。大橋には、他に米軍機が飛行する日常を捉えた映像作品《Birdwatching》がある。

料理店の社長は日本人だが、香港人スタッフの好意を拒絶することで、異民族への眼差しが透けて見える。しかしこれは一つの解釈でしかなく、別の見方もあろう。ここに本作の多義性の長所があり、見るもの自身の考えで差別について考えるよう誘う。同じように、検閲のプロセスと作家のアクションの資料により、作家は私たちがどのような閉じた社会に生きているかも呈示する。

その答えは見るものの中にある。(アライ=ヒロユキ)