『かみじま てしごと市』

　昨日、弓削島で『かみじま てしごと市』が開催された。
　弓削島をはじめとする上島町界隈の島に暮らす人たちが、それぞれの得意を活かして商品・サービスを持ちよって出店するもので、今回で9回目を迎える。

　参加条件は既製品でなく、ひと手間「てしごと」を加えたものを提供することであり、作り手が直接販売することである。

　食事や飲み物、菓子、農作物、水産加工品、クラフト製品、洋服などにとどまらず、リトルプレスの本屋にマッサージ、はたまた音楽ライブに絵本の読み聞かせ、さらには弓削商船高専の先生と生徒による科学の実験教室まで、さまざまなお店がひしめき合う。

　もともと若い移住者夫婦（別の機会にも紹介したい）が3年ほど前に企画し呼びかけて始まったもので、一年に3回（春、夏、秋）開催されている。
　回を重ねるごとに、出店者や来客が増えていき、始まって数年とは思えぬほど島の皆さんに浸透している。
　この何年かで増えた移住者だけでなく、島のおっちゃん、おばちゃんたちまで巻き込み、島内の「腕自慢」たちの競演の場となりつつある。

　まさに『海賊の学校』の先生である、現代の海賊たちの見本市のような様相だ。

　そんなわけで、今回はお手伝いで参加した僕も、海賊たちのふるう手料理やクラフトについつい目を奪われ、手伝いそっちのけで楽しんでしまった。

　今回僕が手に入れた海賊たちの「てしごと」の一部を紹介しよう。

・『自然農の海賊』が作った「自然農野菜のフォー」
・『カヤックの海賊』が作った「ホットサンド」
・『干物の海賊』が作った「ぐちの一夜干し」
・『ヤギの海賊』が作った「ヤギのミルクのコロネ」
・『郷土料理の海賊』が作った「草もち」
・『漂流物アートの海賊』が作った「貝殻のキャンドルホルダー」
・『縫物の海賊』が作った「ピエロの人形」
・『和船づくりの海賊』が作った「木の椅子」
・『花の海賊』が育てた「花の苗いろいろ」
などなど
（※注：上記『〇〇の海賊』という呼び名は、敬意を込めて勝手にお呼びしたものなので、出店者ご本人の許可を得たものでも、ましてや本当の海賊なわけでもございません。）


　そして、なぜなのかはわからないが洋服のお店のテントの片隅にぽつんと置かれた「麦わらのルフィ」の置物に目がとまり、お安く譲っていただいた。
　泣く子も黙る海賊漫画（※海賊版という意味ではない）の主人公である。　

　海賊たちの技の数々に触れて高揚した僕が、わが家にやって来たルフィに目くばせして呟いた言葉はもちろんこうだ。

　「海賊王に俺もなる！！」

　海賊の学校・兼頭一司