最近の活動報告

時差投稿となってしまいましたが、このたびいただいたご支援に基づく事業として市民公開講座「心臓病に負けずにピン・シャン・コロリ」を宇部市との共催で開催いたしました。

講演と、その後の多職種ブースという構成でイベントを行いました。
講演パートでは当科から岡村講師と大野助教がそれぞれ心筋梗塞、心臓リハビリテーションに関して講演を行いました。

多職種ブースというとなじみが薄いかもしれないので簡単に解説します。心筋梗塞の再発予防や、心不全の管理においてはその出発点には医師による診断、治療方針の決定があるのはご想像の通りです。しかし、心筋梗塞や心不全は生活習慣の破綻が遠因となってやがて起こるものであり、食生活や服薬、運動習慣などを適切に管理することが増悪および再発予防において非常に重要です。適切な管理のためには患者さん一人一人が自らの主治医になるつもりで自己管理を行っていく必要があります。患者さん自身が、ご自身にとってのよき主治医となれるように医師が指導するのはもちろん重要です。しかし医師が患者さん一人一人とお話しすることができる時間は限られ、また患者さんによって医師と合う・合わないという問題もあります。
包括的な疾病管理のための指導、すなわち心臓リハビリテーションは看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、栄養士など医師以外の各職種が集まってチームを組み、領域ごとに行います。耳障りのよくない話をいろんな人がいろんな言い方で指導することで、患者さんの受け入れや意識への残り方が変わってきます。実際に、多職種介入で治療の転機がよくなることは多数報告されています。この多職種チームが院外に出張し、市民の皆様に心臓病予防や早期発見の学習のお手伝いをするのがこの多職種ブースの試みです。これまで複数回イベントを行い、ノウハウが蓄積してまいりましたので、今後も講演＋多職種ブースの形で県内各地で展開していくことを模索しています。

また、心疾患と併存することで転機を悪化させ、今や日本人の7人に１人がり患しているとされる「慢性腎臓病」に関しても、同時に啓発ブースを出展しました。

心臓病にも、腎臓病にも、塩分の過剰摂取は大敵です。そんな塩分を摂りすぎず、塩分の排泄を促進するカリウムをしっかりと摂ることが重要であり、共催していただいた宇部市ではへら塩（塩分を減らす）、ベジ宇部（カリウムの多く含まれる野菜を増やす）作戦が進行中です。慢性腎臓病啓発ブースではお集まりいただいたみなさんの尿からナトリウム・カリウム比の計測を行い、当科から澁谷講師が参加したほか、なんと学部学生さんも協力にかけつけてくれました。

イベントは大盛況のうちに終了し、多くの宇部市民の方にお越しいただきました。今後は県内各地で毎年開催できるようすすめてまいります。

また、かねてからのクラウドファンディングの目玉案件である心電図伝送を含むＩＣＴシステムの導入も、着々と進行中です。詳細は今しばらくお時間を頂戴しますが、改めてご報告させていただきます。

引き続き暖かくお見守りくださいますと幸甚です。今後ともよろしくお願い申し上げます。