発達障がいを知ってください８　声掛けの仕方の工夫

発達障がいのお子さんへの声掛けの仕方

　　発達相談に携わっていると、「○○しなさい！って言ってるのに全然聞いてくれない、やってくれない」という親御さんからのご相談や「言われてないのにやってないって怒られる」「どんどん言われると混乱する」というお子さんからの相談をお受けします。お互いが楽になれるような発達障がいのお子さんへの声掛けの仕方について、いくつかのポイントをお伝えします。以下にお示しするポイントは、自閉スペクトラム症のお子さんにも、ADHDのお子さんにも使えます。

 

①　お子さんの注意をしっかりと引きましょう。

　注意が散漫になりやすいお子さんでしたら、テレビを消したり、気になるものを見えにくくするといいです。

 

②　声 掛けの内容は、短く、具体的に、1つずつです。

　短くというのは、長い文章で伝えすぎると大切なポイントがどこなのかお子さんにとってわかりづらくなるからです。

具体的に、というのは、「○○しない」と言った否定文や「ちゃんとしなさい」というあいまいな指示では、何をするといいかわかりづらいです。「○○します」「椅子に座ります」などやるべき行動を明確に伝えるといいです。

1つずつというは、1回に指示する内容のことです。お子さんの特性にもよりますが、一気にたくさん言われると忘れる、情報が混乱するということが起こるので注意が必要です。ことばだけでは伝わりにくい子どもには絵カードを使ったり、忘れてしまいやすい子には書いて渡したりするとよいこともあります。

 

③　CCQの声掛けを

　　CCQの声掛けは発達障がいのお子さんへの𠮟り方としてよく知られている方法です。一つ目のCは、Close。お子さんに近づいて伝えます。二つ目のCはCalm。感情をコントロールをして落ち着いて伝えます。Qは、Quiet。静かに伝えます。お子さんが聞いてくれないと、ついつい二つ目のCやQが難しくなりますが、試してみてくださいね。

 

④　やるべき行動を伝えたら少し待ちます

　ことばをかさねてどんどん言うとお子さんも混乱します。少し待って、適切な行動が出にくいようであれば、もう一度言うようにしましょう。

 

⑤　ほめます

　お子さんが適切な行動をしてくれたらしっかりと褒めます。お子さんによって、褒め方の好みは違うので、工夫してみてくださいね。お子さんは、声掛けを聞いて、動いたら、褒めてもらえたという経験をすることで、またやってみようという気持ちが芽生えます。

 

　お子さんをお持ちの親御さんだけでなく、園や学校の先生、地域の皆様にも知っていただき、発達障がいの方への声掛けのヒントにしていただけますと嬉しいです。

＜文責　山本知加＞