人類・鉄創世記 ―宇宙の賜物・隕鉄を素材とする、原始鍛冶の復活へ―
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寄付総額

9,050,000

目標金額 4,800,000円

寄付者
301人
募集終了日
2024年4月26日

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2025年06月29日 12:03

隕鉄の音を聞く、宇宙の音を聞く  -火箸風鈴、明珍家の挑戦-

 志賀直哉の名作「暗夜行路」(1921~1937年)には
  お栄から明珍の火箸を買って来てくれと頼まれた
  というくだりがあります。姫路を訪れた際に主人公の時任謙作が残した言葉です。

 明珍家については本プロジェクトの冒頭でも紹介しましたが、平安時代より続く甲冑師の家系であり、12世紀半ばに近衛天皇に明珍の姓を賜り、その後は姫路藩のお抱え甲冑師の命を受けたこともあります。明珍家ホームページ(https://myochinhonpo.jp/)によると、その後の明珍家は明治時代の廃藩置県により甲冑の需要がなくなり、千利休のために火箸を作ったという故事にならい火箸製作で起死回生を図りました。戦時中は鉄の入手が困難になり、戦後の高度経済成長期には火箸の需要が低減するなど何度も危機に見舞われます。しかし、伝統の技を途絶えさせないため、52代明珍宗理が試行錯誤を重ね、昭和40年ついに「明珍火箸風鈴」が誕生しました。私も明珍家の火箸風鈴をかつては7組もっていましたが、海外から訪れる友人たちに欲しいとせがまれプレゼントしてしまい、今では職場に吊り下げている1組しか手元にありません。

 私の明珍火箸風鈴との出会いは約四半世紀遡ります。1998(平成10)年、熊本県山鹿市にある熊本県立装飾古墳館で古代たたら復元が大規模に開催されました。そこでは故木原明村下や現職の堀尾薫村下が指揮を執られ、3基もの製鉄炉が同時に創業されました。その後、山鹿市でこの古代たたら復元をめぐる講演会が開催され、私が木原村下の露払いで日本、九州における製鉄の歴史についてお話しし、木原村下が鉄作りの技術とその精神について熱く語られました。その終盤、村下がおもむろに桐箱から1対の火箸を取り出され、耳を傾けてくださいとりん棒でひと叩きされると、その澄んだ震える音が響き渡り、しばらく会場は静寂に包まれました。その火箸こそ52代明珍が鍛え、木原村下に献じられたものでした。驚くことにこの火箸は玉鋼製。つまり村下さんが出雲のた

故木原明村下と私
故木原明村下と私
52代明珍宗理(明珍家ホームページより)

たらで砂鉄と木炭から作られた鋼を鍛えたものだったのです。感動や驚きが2倍になりました。

 さて現在、兵庫県姫路市の53代明珍宗敬さんと刀匠の明珍宗裕さんご兄弟に隕鉄を素材とした火箸風鈴の鍛造に挑戦いただいています。宗裕さんが刀を鍛えるがごとく隕鉄を鍛延し、それを素材に、後日、宗敬さんが火箸の形に鍛えます。今回、宗裕さんが鍛えた隕鉄は、広島の刀匠、三上高慶(貞直)さんが1kgを超えるゴツゴツした隕鉄を慎重に鍛え、立方体に整えたものでした。三上刀匠→明珍刀匠→53代明珍というこれ以上はないというバトンタッチを身近で見て震える思いでした。

隕鉄素材を棒状に鍛延する明珍刀匠

 

隕鉄を鍛造して形を整える三上刀匠

 

三上刀匠から明珍刀匠の手に渡った隕鉄素材

 

 

 

 宗裕さんによる鍛造の結果、隕鉄は1cm角の46cm長の角棒に変身しました。

明珍刀匠が鍛えた隕鉄の棒状素材
隕鉄の輝き

 

 隕鉄がこのように美しく変貌するのかと驚くばかりでした。しかし安心はできません。これまでの経験からも隕鉄には小さな亀裂や不純物の貫入がつきものです。宗敬さんは角棒を手にして、「こことここに小さな亀裂がある。これらを避けて素材取りをして、鍛えなければいけない」とすでに次の工程の課題を見据えていました。

隕鉄の鍛延中に意見交換する宗裕さん(左)と宗敬さん
宗裕さんから宗敬さんへ隕鉄素材のバトンタッチ

 これから53代宗敬さんの作業が始まります。角棒の角を少しづつ潰し、四角形を八角形に、そして十六角形にと整え、最終的には円形に仕上げます。しかも相性のいい2本の箸を鍛えなければなりません。これからの宗敬さんの作業に大いに期待したいと思います。
 宇宙から地球に降り注いだ鉄は一体どのような音がするのか、46億年以上も地球内部で育まれた鉄の音とはどのように違うのか、体験し、理解する時を待ちたいと思います。

 

 

 

 

 

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