既存薬を使った抗がん剤の開発　＃２酸化ストレス①

 

私達は既存の薬剤を用いた抗がん剤の開発を行っております。

この治療法は、酸化ストレスを利用し、がん幹細胞を倒すことで、がんの治療を行うことを目的として開発しています。

 

今回は、私たちの研究における「酸化ストレス」について少し説明します。

 

 

酸化ストレスとは

 

酸化ストレスは、ストレス、放射線、喫煙など様々な原因で細胞内に溜まるストレスの一つです。その主な原因は、活性酸素種であり、近年、皮膚のシミ・しわ、認知症などとの関連も指摘され、注目されています。

 

そして、酸化ストレスが強くなると「フェロトーシス」が引き起こされます。

 

フェロトーシスとは、細胞死のパターンの１つで、鉄依存性細胞死ともいわれます。このフェロトーシスは活性酸素と、活性酸素によって酸化された脂質（過酸化脂質）が主な原因となり引き起こされます。

 

 

がんと酸化ストレス

 

がん細胞（特にがん幹細胞）では、この酸化ストレスやフェロトーシスに対する耐性（抗酸化機構と言います）が非常に強くなっていることが指摘されています。

 

つまり、がん細胞は、普段から自分の力で酸化ストレスを抑え込みつつ生存しています。

 

 

そこで、私達はこの酸化ストレスを抑え込む力を破綻させ、がん細胞を倒すという開発に取り組み、これまでにない酸化ストレスを高める新しい治療法を救ることに成功しました。具体的には、酸化ストレスの大元である「活性酸素」と「過酸化脂質」を細胞内で増やす戦略を取っています。

 

＞酸化ストレス②に続く・・・