46年前の今日、紫電改が引き揚げられました

　今から４６年前（昭和５４年）の今日、７月１４日に紫電改が愛南町久良湾の海底約 40ｍから引揚げられました。
　この機体は、終戦間際の昭和２０年７月２４日に豊後水道上空で米軍機と交戦し、その日未帰還だった６機のうちの１機と言われています。その搭乗員の一人である武藤金義さんのご遺族は、長い間海水につかって喉が乾いているだろうと、家から持ってきた水を機体に向け、溝口憲心さんの母、比奈さんは、好物だった柏餅を海に供えたそうです。
　１０時１９分頃、紫電改は完全に浮上し、３４年ぶりに姿を現しました。
　機体全体にフジツボが付着、プロペラは４本とも折れ曲がり、尾翼方向舵や水平尾翼の昇降舵、エンジン部分が破損、左主翼と胴体との付け根部分が外れかかっていましたが、ほぼ原形のままの姿で、２０ミリ機銃も左右に2本ずつ残っていました。
　照りつける日差しの中で、風防ガラスを開き、機内を点検しましたが、乗員を識別する資料は何一つ見つかりませんでした。
　紫電改の引き揚げを見届けたご遺族は、久良公民館で共同記者会見にのぞみ、「再び、このような悲惨な戦争が起こらない誓いの記念品として保存して欲しい」とのコメントを残されています。
　我々は今後も、この機体を、できるだけ現状を維持したまま展示することで、ご遺族の皆さまの思いを後世に引き継いでいきたいと考えています。