15日目のお礼

プロジェクト開始から半月が経過しました。これまでのご支援、誠にありがとうございます。

15日は私の誕生日でしたので、うれしいプレゼントとして受け取りたいと思います。

ところで、「日本酒学（Sakeology）」を標榜する研究機関が存在することをご存知でしょうか？

最多の酒蔵軒数を誇る新潟県に2018年に開設された、新潟大学日本酒学センターです。

https://sake.niigata-u.ac.jp/

14日（土）に日本酒学センターのシンポジウムに登壇して来ました。

https://sake.niigata-u.ac.jp/2816/

このシンポは醸造学の技術的側面に光が当てられがちななか、副題に掲げたように、人文学が「日本酒学の時空を広げる」ことを目指した企画でした。

会場には100名以上が詰めかけ、盛会となりました。

企画者の畑有紀先生、芳澤元くん、それから日本酒学センターの皆様にもお礼申し上げます。

懇親会もおいしいお酒に、おいしい肴。大満足です。

何を隠そう、私は日本酒史学を専門の一つとしています。

きっかけは2012年、当時在籍してた大阪大学総合学術博物館で「ものづくり　上方“酒”ばなし」という展覧会を企画したことです。

阪大には工学部の前身・大阪高等工業学校に醸造科があり、竹鶴政孝（日本初のウイスキー蒸留技師）や河内源一郎（焼酎白麹の発見者）をはじめ、酒造業界に大きく影響を与えました。

古代以来の上方での酒造りから醸造科が輩出した人材の功績を紹介する展覧会でした。

これがNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」に「洋酒関係資料提供」として関わることにつながりました。

2021年の銘酒「緒方洪庵」復活プロジェクト、それに続く「緒方洪庵」の阪大公式グッズ化にも携わることになりました。

しかし私の本来の研究は、南北朝・室町期の政治史、特に室町殿（将軍家家長）と朝廷・天皇との関係史が専門です。

足利将軍家は代々酒好きで、公家たちはそれに付き合わされており、彼らの心性を理解するには酒を飲む必要があり、私は単に好き好んで飲んでるわけではない、というのが公式見解です。

それはさておき、室町殿の酒宴を分析すると、室町幕府は“酒浸り”の政権であり、それゆえに現在につながる日本酒の基本的製法が確立する技術革新を導いたことが分かってきました。

日本酒学センターでは、そのことについてお話いたしました。

既に昨年、下記の共著に「室町社会と酒」という論考を発表しています。

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b598245.html

ご興味のある方は是非ともご覧ください。