クラファンコラム企画：私の想い（土井宏太郎）

「患者様に寄り添う」ことの真の意味

本プロジェクトを応援してくださっている皆様へ心より感謝申し上げます。
改めまして、宮崎大学産婦人科の土井です。

「クラファンで産婦人科外来をリニューアル！！」

この話を最初に耳にしたとき、私の頭の中は「クラファン？なぜ？？」の気持ちでいっぱいでした。「そんなに支援が集まるのだろうか？」「世の中そんなに甘くないのでは？」疑問と不安が駆け巡りました。これまで日々の外来診療において、患者様にとっても医療者にとってもそれほど不十分な環境ではないはず。。そんな想いもありました。

でも、それは大きな誤りでした。

プロジェクトチームが発足し、すべての患者様のために「病院予算では賄えない」安心や安らぎにつながる部分の向上を求めたいという理念のもと、真のニーズを把握すべく患者様へアンケートを行いました。

そこには、私たちには思いもよらなかった切実な思いがあふれていました。妊婦さんが通れないほど狭い通路、使いにくい授乳室は疲労や閉塞感を生み不安が増幅し、そして体調が悪い方にとって硬い椅子に座り続けることは待ち時間の苦痛を何倍にも強めてしまっていました。「最善の医療を提供することこそ我々の使命」とずっと信じてきましたが、取り巻く環境という意味では、これまで最善ではなかったとことを知りました。

より良い場所であるための環境づくりは、クラファン開始と時を同じくして始まりました。椅子の配置を変え通路を広くし、不安な気持ちを少しでも和らげるべく窓から見える外観の清掃・環境整備を行いました。意識が変わることで環境を変えることができる、このプロジェクトがなければ「患者様に寄り添う」ことの真の意味に気づくとはできなかったかもしれません。

一人ではできない。大きなチームのあたたかさを胸に。

そして、もう一つ学んだこと。それは「チーム」という言葉の大きさと温かさです。

私自身の四半世紀に及ぶ医師人生の中で、医療は決して一人ではできないこと、メンバーがチームとして機能しなければ命を助けることはできないこと、そのことは十分に分かっていたつもりでした。

ですが、このプロジェクトを経て、私たちを支えてくれているチームは、今まで自分が思っていたものよりも、遥かに大きな大きなチームであることに気づきました。

医療チームは医療職のみにあらず、患者様に寄り添う気持ちをプロジェクトメンバーの一員として尽力してくださった各分野のスペシャリスト皆様のご尽力には、本当に頭が下がる思いです。

そして、私たちの想いに賛同してご支援いただいた多くの皆様の力は大きく温かいチームです。こんな頼もしいチームに支えられていることを我々は決して忘れずに、その想いを胸にこれからの毎日に向き合ってまいります。

このプロジェクトは、私たちに大きな気づきを与えてくれました。皆様のご寄付に心より感謝し、これからもすべての患者様やご家族のために、微力ながら日々を積み重ねていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。