ブラックバイトの背景

 

　ブラックバイトとは、違法な長時間労働をさせたり、契約内容と違った業務をさせたり、厳しいノルマを課したり、大学の試験期間であっても休ませてくれないなど、学生であることを尊重しないアルバイトのことを言います。

　なぜこのようなブラックバイトが蔓延してしまっているのでしょうか。ブラックバイトの背景には、①貧困、②労働法教育の不足、③企業倫理の欠如があります。

 

 

1　貧困

　大学の授業料など高等教育が高額化する一方で、公費による負担割合が低いため、高い教育費が家計の大きな負担となっています。

　それでは、家計の方はどうかというと、世帯収入は年々減少し、世帯収入だけでは子供の学費を賄えなくなっています。

　学費を賄うための奨学金制度も、日本では「有利子」奨学金制度が拡大してきました。

　その結果、多くの学生が借金を負いながら、学費や生活費を賄うためにブラックな環境でもアルバイトを続けざるを得なくなっています。

 

 

2　労働法教育の不足

　2つ目の背景として、労働法教育の不足が挙げられます。

　日本の「キャリア教育」では、エントリーシートの書き方や面接の受け方、社会人基礎力といった、会社に適応するための教育が行われています。

　一方で、労働者にはどのような権利が保障されているのか、どのような働かせ方が違法なのか、といった会社に抵抗するための労働法教育は不足しています。

　アルバイトであっても労働者としての権利が保障されているのですが、労働法教育を十分に受けていない学生さんが、自らの置かれている状況の異常さに気付かないという現状があります。

 

 

3　企業倫理の欠如

　「バイトリーダー」や「パート店長」といった言葉に見られるように、非正規労働の基幹化が進んでいます。低賃金であるにもかかわらず、正規労働者並の義務やノルマを課されたり、学生生活に支障を来すほどの重労働を強いられています。

　企業の側は、学生の無知につけ込み、また、真面目な学生の責任感や向上心に巧みに働きかけ、企業にとって都合の良いように利用しようとします。

　学生さんがブラックバイトを辞めたいと思っても、企業側から脅迫されたり懇願されたりし、簡単には辞められないという状況があります。