歯科領域が One team となって早期診断に貢献できるように

　今日は、ある論文の内容についてご紹介します。今から27年前の1993年の症例報告のお話です。この論文では、15歳の男子で永久歯が脱落してしまったということを報告しています。この男子は、生後８か月でくる病の疑い、２歳で乳歯が脱落したという記載がありました。そして、６歳の時点で成長の遅れや下肢の湾曲を機に、低ホスファターゼ症という診断がなされるのですが、できれば今後はもっと早く見つけてあげられないかということです。

　私たちがそう感じるのは、現在の日本では根本治療薬があるためです。使用するかどうかは、小児科の先生が個々の症例に対して決定していきます。一方で、診断を早くつけておくことができれば、必要な症例で適切な時期から治療を開始でき、全身の骨の問題に対する早期解決へ有利な状況が作り出せるのではないかと考えています。

　私たちは、乳幼児歯科健診において、乳歯の早期脱落がないかチェックしてもらうことをよびかけています。また、日々の子どもの歯科治療時にも、乳歯が早期になくなっている子どもがいないか注意してもらうようにお願いしています。2020年代の半ばごろまでには、診断がつかずにいる子どもたちをゼロにできるように啓発活動を今後も継続していきたいと考えています。