
支援総額
目標金額 2,000,000円
- 支援者
- 133人
- 募集終了日
- 2018年11月19日
斎藤成也教授からのメッセージ(全文)

本プロジェクトに国立遺伝学研究所の斎藤成也教授からメッセージを頂戴しております。
誌面の都合で、プロジェクト紹介記事本文で全文が掲載せきませんでしたので、改めて、全文を掲載します。
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*古代人骨のDNAから日本人のルーツを探る*
斎藤成也
国立遺伝学研究所
古代DNA研究の話にはいるまえに、日本人(日本列島人)の成立について現在の定説である「二重構造モデル」について説明する。日本列島(ヤポネシア)に旧石器時代に移住して最初に住みついた人々は,東南アジアに住んでいた古いタイプの人々の子孫であり、彼らがその後縄文人を形成した。弥生時代になるころ,北東アジアに居住していた人々の一系統が日本列島に渡来してきた。彼らはもとは縄文人の祖先集団と近縁な集団だったが,寒い環境への遺伝的な適応変化により、骨形態が縄文人とは異なっていった。この新しいタイプの人々は,日本列島に水田稲作農業を導入し、北部九州に始まって、日本列島中央部全域に移住を重ね、そのあいだに先住民である縄文人の子孫との混血をくりかえした。これが現在日本列島に居住する多数派(ヤマト人)である。ところが,日本列島北部と南部にいた縄文人の子孫集団は,この渡来人との混血をほとんど経ず,やがてそれぞれアイヌ人とオキナワ人の祖先となっていった。現代日本人集団の主要構成要素を,第一波の移住民の子孫である「土着縄文系」と,弥生時代以降の第二派の移住民である「渡来弥生人系」の二つに考えて説明したことから,この説は「二重構造モデル」とよばれている。
遺伝子データからも、日本列島北部のアイヌ人と南部のオキナワ人の共通性が確認されている。ヤマト人のなりたちを、「縄文」ということばで象徴される土着の要素と、「弥生」で象徴される大陸からの新しい渡来人の要素で説明する二重構造モデルは、現在でも日本列島人成立についての定説である。ただし、縄文と弥生の二大要素の起源が問題として残る。弥生時代以降の渡来人は、朝鮮半島や山東半島などの地域に居住していた人々の一派だと考えられるが、旧石器時代から縄文時代にかけて日本列島に渡来した人々の起源については、大陸のわずかな数の遺跡から発見された人骨の形態をもとに、東南アジアだろうとだけ言われており、遺伝学データの解析からは、この点は否定・肯定の両者が存在してきた。そこで、過去の直接的なしかも膨大な証拠となる、古代ゲノムDNAデータの登場である。
現代に生きる私達は、祖先から伝えられたDNAを持っているので、現代人のDNAを調べても過去の人々についてある程度推測することができる。しかし、過去に生きていた人々のDNAを調べることができれば、直接的な証拠になる。このようなDNAを「古代DNA」と呼ぶ。技術的な制約があるので、かつてはもっぱらミトコンドリアDNAの塩基配列を調べることが行なわれてきたが、10年ほど前から、いろいろな年代に生きていた人々の骨や歯の中に微量に残っていたDNAから、核ゲノムのDNA配列が、次々に決定されている。
私の研究室でも、2008年から2013年までの5年間、総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻の5年一貫制博士課程の学生だった神澤秀明さん(現在国立科学博物館人類研究部の研究員)が、古代DNAの解析をおこなった。最終的には、2016年に、福島県新地町の三貫地貝塚出土縄文時代人の核ゲノムデータを決定し解析した論文を、日本ではじめて発表することができた。次世代シーケンサーが生み出した28億7800万塩基から、ヒトゲノムの配列1億1500万塩基を選び出した。比率でいうと、決定された全塩基配列のなかの4%弱しかないが、それでも1億個を優に越えている。
世界のあちこちの現代人ゲノムと比較したところ、三貫地縄文人がもっとも近縁であったのは、東ユーラシアの現代人集団だった。さらにくわしく調べたところ、縄文人にもっとも近いのは、アイヌ人だった。この結果は、二重構造モデルを支持している。ただ、縄文時代は16000年前から3000年前までの13000年間続いたので、その間に日本列島の南北で遺伝的な変化が生じた可能性がある。今後は、「縄文人」とひとくくりにせず、日本列島のいろいろな地域・時代の縄文人のDNAを調べる必要がある。
この文章は、斎藤成也『核DNA解析でたどる日本人の源流』(2017年、河出書房新社)にもとづいている。
リターン
3,000円
【感謝を込めて】お礼のメール・活動報告メール
・お礼のメール
・活動報告メール
- 申込数
- 67
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年1月
10,000円
【感謝を込めて】古代人骨DNA解析報告会・ご招待券2名様分・活動報告をまとめた冊子
・古代人骨DNA解析報告会招待券2名様分
本プロジェクトの成果を、斎藤成也教授(又は神澤秀明博士)にご報告いただく、報告会へのご招待券を2枚お送りします。
※場所については東京、出雲会場他を予定
※日程・会場は、調整中のため、後日詳細をお知らせさせていただきます。
・お礼のメール
・活動報告メール
・活動報告をまとめた冊子・冊子にお名前
- 申込数
- 82
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年5月
3,000円
【感謝を込めて】お礼のメール・活動報告メール
・お礼のメール
・活動報告メール
- 申込数
- 67
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年1月
10,000円
【感謝を込めて】古代人骨DNA解析報告会・ご招待券2名様分・活動報告をまとめた冊子
・古代人骨DNA解析報告会招待券2名様分
本プロジェクトの成果を、斎藤成也教授(又は神澤秀明博士)にご報告いただく、報告会へのご招待券を2枚お送りします。
※場所については東京、出雲会場他を予定
※日程・会場は、調整中のため、後日詳細をお知らせさせていただきます。
・お礼のメール
・活動報告メール
・活動報告をまとめた冊子・冊子にお名前
- 申込数
- 82
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年5月

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