
支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 412人
- 募集終了日
- 2020年3月23日
こぼれ話♯2 百瀬雄太が場所をつくろうと夢を見たわけ
クラウドファンディング 、あと1日となりました。
プロジェクトページに書かれている庭文庫は、わたし(百瀬実希)の語る庭文庫だったけれど、一緒にやっている百瀬雄太からも文章を書いてもらいました。

夢を見ていた。
誰もが自らを殺すこともなく他者を殺すこともないような、ほんとうにさいわいと言える〈世界〉の夢を。
19歳、ぼくはその夢のような〈世界〉を心に描き、そのためにじぶんにはなにができるのだろうかと問うた。
人は線を引く。
言葉で、ナイフで、認識で、棒で、まなざしで、権力で、力で、瞳で、侮蔑で、
人は線を引く。
そういうことを、詩に書いたあの日々に、ぼくはぼく自身、死にたくてしかたがなかった。みずからの手でみずからに「死」という、「生」から別け隔てられたひとつのありかたをみずからに、欲してしまっていた。それ以外、どうしようもなかった。だから、詩を読み、詩を書き、歌を聴き、うたをうたった。そうしたことだけがぼくをこの世界に、この地上に存在させ、飛び立つことを押しとどめた。ぼくは音楽と本とに、生かされたのだった。

それからしばらくして、ぼくは「場所をつくろう」と、なぜかそう思った。どうしてだったかはいまはもうわからない、そもそも理由なんていつもあやしいものだ、ぼくは理由というものを、あまり信じていない。
その時に思っていた「場所」はしかしどこにでもあるような店だとか施設だとか公園だとか、そういうものとはなにか異質なものに違いなかったのだけれども、当時のぼくにはそれがいったいどこにあるどのような場所なのかということは、まるで見当もつかずにいたものだった。
わかっていたのはただ、そこにいることで人は、おのれが何者であるかということに関係なくただその人としていることができ、そのことを祝福し、祝福され、だれしもがその場所では〈自分〉として在れる〈場所〉。そういう場所であることだけは、はっきりと、確信していたのだった。
なにかものがあればいいわけでない、だれかがいればいいわけでない、どこかで、そのどこかの場所で、ぼくはしっかりと、じぶん自身を生きてみたいと思っていたし、ぼくのまわりに暮らすひとびとも同様に、それぞれのしかたでそれぞれの日常を、確かな悦びのなかにその生を、生きていてほしかった、ただ、それだけのことを、欲していたのかもしれなかった。
あれから十数年がすぎて、ぼくはいまもまだ、ぼくとして動き生きてある、そのことがとても、とてつもなく、うれしいと思える。それはもちろん、ぼくによるものではなかった、ぼくは、ぼくという人は、人と人、人間のあいだにあって生かされてここまで来た。遠い足どりのようで風に吹かれるかのように一瞬にして、19のぼくは、32のぼくへと、離陸する。
ぼくはいまでは死にたくなくなってしまっていた、それはたぶん、多くの事柄が関係するものだけれども、ぼくは理由というものをやはりはっきりと、自覚することができないでいる。いろいろの、ことが、あった、あったのだと、思う。
ぼくはいま、〈場所〉をつくっている。そのつもりで日々を暮らして、生きてある。しかしその〈場所〉は、実のところ、つくるというようなものではないのかもしれないな、とも思う。それは、その〈場所〉は、じつははじめからわたしたちの身のまわりにあるはずの、まったくもってあたりまえの日常と呼ばれる場所にあたりまえにある、そんな〈場所〉、なのだといまは思っている。
しかしぼくたちは、すくなくともぼくはそのことに、長い長いあいだ、まったくもって気づけずにいた。
ぼくはこの世界が、いやだった、この星に暮らすことがたえまなく苦しかった、地上が、苦に、満ちていた。だから、だから、だから。
だからぼくは、うたをうたいつづけてきた。だれにも聴かせるつもりもないうたを、ただひとりで。
そうした日々のただなかでぼくは、おのれのためにこそつくるひとびとの、その営みを知るようになっていった。
どこにでもいる、なんのためでもない、言うなればじぶんのためだけれど、それはじぶんのためなどという目的論に回収されてしまうようなしかたで自覚されたものではなくて、ただただ生きるためにこそ、みずからの生きてあることのうちにある、迸り出る、生の滴をなんらかの痕跡に残しこの世に留めるひとびとの営みを、ぼくはすこしずつ、目にするようになっていった。
そしてまた、彼ら彼女らにとって、あるいはぼく自身にとっても、そうした制作の時空それこそは、ひとつの透明な鮮明な〈一つの居場所〉なのであって、そこには確かにぼくが夢見た、あの〈場所〉の息づきが、そっと聴こえてくるのであった。

ぼくは庭文庫という場所を、そこで暮らす時を、それぞれの生がそれぞれに肯定される場所や時であるようにと、しずかに願っている。それはまた、ぼく自身がいつもつねに、自分自身が立ち帰る場所として、自分のまんなかにぴたりと存在しなおすための場所と時として、この地上に、存在していてほしい、そんな時と場所なのだと思う。
宿をはじめたいと思ったのは、お金の面もあるけれど、ひとりやふたりや、じぶんにとって必要なひとたちと、あるいはだれもがいない時空の真っ只中で時を、木を、風を、土を、紙を、火を、水を、沈黙を、音を、温みを、冷えを、匂いを、暇を、夢を、あるいはなんでもいいそれらのなにかをただ、じっとしずかに、感じてほしい、と思ったからだ。
そうしたものたちを、瞬間瞬間に生起する世界の微細な相貌を、確かにはっきりと知覚していくためには、時間が要る。それも、ながいながい時間が。
庭文庫の家は、ゆりかごのような場所だってみきちゃんはまえに言っていた。そうなのだと思う、あの場所は、うまれたままの時間と日々に帰るための、ゆりかごのようなところである。
忙しない日々のなかで心を亡くし、いつのまにか自分というものさえもわからなくなってしまうということがぼくたちにはあって、そうして世界と自分との距離を埋めようとして、なにかを買ったり酒を飲んだり、したくもないパチンコやセックスに耽ってみたいもする。
そうしたすべてのことはまた、無意味というものではないのだけれどもし、その時を生きるさなかにおいて、自分がなにか自分であることを忘れてしまっているような、後ろ暗いせつなさやさみしさを感じているとするならばただ、あの庭に、あそびにきてみてほしいとぼくは願う。
あの場所は、まだまだうまれたての赤児のような場所だけれどもきっと、これからもっとすてきな場所になる、なっていく、するのだ、ぼくたちで。
そうしてまたぼくたちは、みるみるうちにおのれ自身になっていき、そこに来るひとたちもまた、みるみるうちにそのひと自身になっていき、素のままの、素的なひとびとの野性で充ちていく。
外的な自然を見るばかりでなく、ひとびとが、おのれの内に木霊する、人間の自然に気がつくための時間と空間とをその場所が、ひっそりと、たいせつにあたためていくだろう。
そしてまた、さまざまに生えくるものたちが、それぞれの自然で無垢な形をしてこの世界に、そっと〈宛名のない手紙〉を出していくのだろう。

本とは、そのようにして書かれるものだから。ぼくたちはそれを、そのように、読むことができる。
本以外であっても、もちろんかまわない。どのような形であれ、あなたが生えてきたものが、わたしは見たい。触れたい。感じたい。
それぞれに、生きて、ほしい。
ぼくもぼくとして、生きていたいものだから。
それぞれに息をして、それぞれの時のまんなかで、それぞれの固有の場所のなかで、それぞれに必要ななにか、営みを、歩んでいてほしい。
ぼくがあの庭をはじめたのはきっと、そうした願い、
祈りからなのだ。
理由は、そこにあった。
ぼくは生きて、それをする。
そしてまた、それ以外の多くのことをする。
飛び立っては立ち還り、
春にはまたこの場所に来たる渡り鳥のようにぼくたちは、あの場所を、往復することができる。
こころよ では いっておいで
そう八木重吉は書いていた。
そしてそのこころはまた、もどってきてもいいのだ。
やっぱりここが いいのだに
こころよ、では、いっておいで。
庭にはいつだって、すきなときにあそびにきていい。
そこはだれしもの、庭なのだ。
そこでおのれを充足し、それぞれの日々へと帰っていく。
その日々がまたまあたらしく、ひかりに充ち満ちたものとなるように祈りながら。
ぼくたちの日々はだれしものそれが尊いのだと
どんな日常のさなかにもひかり輝く鮮明な在ることの営みがあるのだと
ぼくたちはそう、信じていい。
世界はいつも、あたらしい。
だからぼくたちは、
生きてゆく、ことが、できるのだ。
そんな夢を、今、見ている。
百瀬雄太

リターン
3,000円

珈琲チケット
・心を込めたお手紙
・庭文庫の店舗で使える2杯分の珈琲チケット(有効期限発行より6ヶ月)
◾︎庭文庫住所:岐阜県恵那市笠置町1462-3
- 申込数
- 121
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年5月
5,000円

【五平餅パーティー】庭文庫のお庭で五平餅つくろうコース
岩村のシェアカフェHYAKKEIを運営する園原まゆみプレゼンツ!
庭文庫のお庭で五平餅パーティーへのご招待と珈琲チケット1枚がついたリターンです。みんなで火をおこしたり、五平餅をつくったりするところからご一緒しましょう、
日程は6月ごろ、相談の上決定します。
どうしても日程が合わず参加できなかった…!という方には珈琲チケット8枚お送りします。
・庭文庫のお庭で五平餅パーティーへのご招待 1名様
・庭文庫の店舗で使える1杯分の珈琲チケット(有効期限発行より6ヶ月)
(日程の都合でご参加できなかった方には、庭文庫の店舗で使える8杯分の珈琲チケット(有効期限発行より6ヶ月)をお送りします)
- 申込数
- 16
- 在庫数
- 3
- 発送完了予定月
- 2020年6月
3,000円

珈琲チケット
・心を込めたお手紙
・庭文庫の店舗で使える2杯分の珈琲チケット(有効期限発行より6ヶ月)
◾︎庭文庫住所:岐阜県恵那市笠置町1462-3
- 申込数
- 121
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年5月
5,000円

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- 3
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- 2020年6月

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