夏の日のこと。

ご支援いただいた皆さまへ

 

ご無沙汰しております。

 

二十四節気では処暑にあたり、暑さが厳しい残暑が峠を越える頃のはずですが、まだまだ暑い日が続いています。

いかがお過ごしでしょうか

 

点と線と面は、変わらず楽しく、ものづくりを続けております。

 

今月も、本プロジェクトでご支援いただいた作品の発送準備が整いました。

現在、作品の仕上げと梱包手配を丁寧に進めております。

準備が整い次第、順次郵送させていただきますので、到着まで今しばらくお待ちください。

 

今月は「ランチョンマット」のリターンとなっております。

ご支援いただいた皆さま、詳細は個別にメッセージをさせていただきます。

宜しくお願い致します。

 

写真を見てくださりご支援いただいた皆さまへ、作品イメージから離れないよう、ブルーベースのカラーで製作致しました。

生地と作り手の刺し子の組み合わせは、世界にひとつです。 

 

お食事に、お仕事に、ディスプレイマットに...

 

唯一無二のものづくりが皆さまの日常の彩りになり、素敵な時間をお過ごしいただけましたら嬉しいです。

 

明日から9月になりますが、まだ気温30℃以上の真夏日が続くようです。

 

夏になると思い出すのは、子供のころ、夏休みは山形の海で遊んだことです。

 

母の実家から車で30分ほど走ると海岸に着き、お盆までほぼ毎日、海の機嫌に合わせて、たくさんの場所で磯遊びを楽しんでいました。

 

海に潜ると、世界が一変します。

 

毎日違う海の色。

陸で聞いていた音とは違う、海の音。

 

もしかしたら魚たちが話している声なのか、海の生き物たちの呼吸の音なのか、独特の音が聞こえます。

 

目や耳を澄ませているうちに呼吸が苦しくなり、海から顔を出す・・・

そんなことを繰り返していた時間を思い出します。

 

海を舞台にした映画、『グラン・ブルー』も夏になると観たくなる映画です。

 

現在、4Kになり再上映されています。

https://movies.kadokawa.co.jp/le-grand-bleu/

1988年公開の映画『グラン・ブルー』は、実在のフリーダイバーをモデルにした物語。

 

深海に挑むふたりの潜水士の友情と競い合い、そして海と人間との神秘的な関わりを、美しい映像と音楽で描いた、リュック・ベッソン監督の初期代表作です。

 

モデルになったジャック・マイヨールは、世界で初めて、素潜りで水深100メートルを突破した伝説的なフリーダイバーです。

 

人間と、イルカやクジラなどの海洋哺乳類の生理的な共通点を研究して「人間と自然は深くつながり切り離せない存在である」ということを、著書や活動を通じて深く伝えようとしていました。

 

幼少期に日本の海に潜っていた縁もあり大の親日家である彼の、心から海と自然を愛するその姿に心惹かれていました。

大好きな映画と大好きな人。

 

ジャック・マイヨールは晩年、うつ病を患い、自ら生涯に幕を下ろしました。

知らせを聞いた時、心が痛くなったことを思い出します。

 

わたしは、大叔父と友を自死で失いました。

幼少期に可愛がってもらった優しいおじさん、友は一緒に仕事をしていた戦友です。

 

どれだけ時間を費やしても終わりの見えない過酷な仕事環境の中で、楽しく生きるために選んだ仕事が、何のために働いているのか見失っていることに気づいた時、わたしは辞めるという道を選びました。

 

友は辞めることができなかった。

その違いが、“あれは自分だったかもしれない”という痛みとなって、今もわたしの中に残っています。

 

何かできなかったのか

自分だけが逃れたのか

どうすれば良かったのか・・・

 

今も答えは見つかりません。

それでも、いま自分に出来ることを考え重ねていきたいと思い続けてきました。

 

 

 

今日は8月31日です。

 

夏休みが終わる最後の日は、子どもたちがとても大きな不安や孤独を抱えやすい日だといわれています。

悲しい選択をしてしまう子どもたちが少なくない現実があります。

 

点と線と面は、未来、“ものづくり” “手仕事” “伝統”を通じて、子どもたちの心とつながり、安心や希望の種を届けていきたいと考えています。

 

教育の現場に、そうした体験の時間を紡いでいくこと。

 

それが点と線と面の願いです。

 

誰かと心を通わせたり、自分を見つめたり、手を動かすことで発見があったり...

 

楽しさに年齢制限はないはずだと、学びの時期から未来へつながる時間を作っていけたらと考えています。

想い続けて行動していれば、いつか形になると信じて。

 

映画ではジャン・レノが演じたエンゾは、エンツォ・マイオルカがモデルです。

 

「人間が自然を尊重し、自然と対話することを学ばなければ、この惑星における自分たちの本当の立場を理解することは永遠にできないだろう。」

 

海洋ごみ、マイクロプラスチックの問題・・・

 

廃棄される素材を使った、わたしたちのものづくりの取組みは微力かもしれません。

 

けれど、小さな一歩が少しずつ優しい循環を育てていけたなら、ごみを増やさない選択につなげることが出来たなら、エンツォが残した言葉を大切に紡げたことになるかもしれない。

 

大好きな映画のモデルふたりの生き方を胸に、自然を想い、人と人のつながりを想いながら、歩んでいきたいと思っています。

 

 

今月も読んでくださり、ありがとうございました。

 

もう少し暑い日々が続くようですが、皆さま、どうぞご自愛くださいませ。

 

引き続き、宜しくお願い致します。

 

 

 

点と線と面

伊藤愛