【新年のご挨拶とご報告】

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願い致します。

皆様の温かいご支援のお陰で、「卵巣がん：診断と治療を支えたい！AIを用いた新規予測システムの開発」の研究は少しずつですが進んでおり、今回は研究結果を少しご報告いたします。

現在、新しいがん組織の採取と解析を順次進めていますが、予測モデルを構築するため、すでに一般的に公開されている情報（画像情報、治療効果・再発の有無）を使用して、残存腫瘍の予測モデルと再発の予測モデルを構築しました。

どちらも治療前の CT 画像を用いて、AI（機械学習）によって構築しています。

まず、残存腫瘍の予測モデルの結果ですが、治療（手術）を行った後の「残存腫瘍なし」と「残存腫瘍あり（1-10mm, 11-20mm, 20mm以上）」を予測するモデルとして、治療前の CT 画像から精度 96％という高い確率で予測できるものとなりました（表1）。

表1. 残存腫瘍予測モデル

Kishi et al. Paper preparing

また、再発の予測モデルの結果では、治療を行った後の「再発あり」と「再発なし」を予測するモデルとして、治療前の CT 画像から精度 87％という確率で予測できるものとなりました（表2）。

表2. 再発予測モデル

Kishi et al. Paper preparing

この2つの予測モデルは、治療前の CT 画像を用いて特定の予後（残存腫瘍、再発）結果を AI が学習することで、予測モデルを作成した結果です。論文による発表を予定しています。また精度の高い結果ですが、その生物学的解析（そのような結果となる理由）を検討していく必要があります。そのために現在、新しいがん組織の採取と解析を進めています。

第一目標である「卵巣がんの医療画像のAI解析に、遺伝子的特徴を追加する」について、引き続き研究を進めていきますので、応援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

2024年2月25日

広島大学大学院医系科学研究科　産科婦人科学

古宇家正