美術館に明かりが灯りました。

「美術館」と聞くと、どんな空間を思い浮かべますか？

多くの方が、真っ白な壁に、同じく白い四角いディスプレイ台が並ぶ、静かで洗練された空間をイメージするかもしれません。

でも、てとば美術館 は、少し違います。

壁は、五島で一番のベテラン左官屋さんが塗った漆喰壁。
漆喰と聞くと白を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、一部は黒の色粉を混ぜ、落ち着いたグレーに仕上げてもらいました。

そして、家具の一部は、解体現場で処分されそうになっていたものを救い出し、再びこの場で活かしています。

照明もこだわりのひとつ。

スポットライトだけでなく、温かみのある灯りを取り入れることで、展示を照らすだけでなく、空間そのものに心地よい雰囲気を生み出すようにしました。

この美術館は、ただ「作品を展示する箱」ではなく、五島の記憶や営みを刻み込んだ空間 にしていきたい。

だからこそ、どこか懐かしく、でも新しい。

そんな場所にしていけたらと思っています。

「美術館らしくない美術館」かもしれません。
でも、この島に根ざした、この島だからこそ生まれる空間をつくることが、私たちの目指す美術館のあり方です。