
支援総額
目標金額 700,000円
- 支援者
- 107人
- 募集終了日
- 2020年1月31日
手話の可能性のお話【応援寄稿(研究所広報 松井さんより)】

声が出せないから、音が聞こえないから手話でコミュニケーションするものだと思っていた。手話は単なる声の代替手段だと。しかし今、その認識は間違っていたと思っている。
映画『1984』の中に「ニュースピーク」という架空の言語が登場する。民衆の思考を都合よくコントロールするために劇中の政府が作り出した「ニュースピーク」。このロクでもない起源を持つ言語に不快感を感じる一方で、「使う言語が思考に影響を与える」というアイデアはあながち間違っていないのではないかとも感じる。僕自身、表現したい感情によっては日本語より英語の方がはるかに楽な場合があるし、「日本語を話している時と英語を話している時で別人みたい」と言われたこともある。日本語と英語はどちらも音声コミュニケーションであるにも関わらず、それらを使った表現、思考には大きな差があることは経験則として安易に否定できない。
手話は身振り手振り、その緩急、さらには豊かな表情を駆使する多層的な情報を含んだコミュニケーションツールだ。視覚的に伝えられる情報は、情景を容易にイメージさせることができるだろうし、話者の表情もストーリーにリアルタイムで重なってくる。そう思うと、手話で表現できる世界には言葉では拾いきれない感情や情報に満ちているように思えてはこないだろうか。手話には普段使うことのなかった思考や感情を呼び起こすに十分な可能性があるように感じてならない。手話だからできる感情表現、手話だから伝わる情景、手話を扱う者だからこそ到達できる思考、そういったものがきっとある。
アメリカ在住時、手話による詩の朗読会を観たことがある。手だけではなく体全体を使った身体表現、豊かな表情、そして言語は生き物であると言わんばかりの手話技術を見て心の底から衝撃を受けた。手話という言語的な情報の上に、視覚的な情報レイヤーが重なり、それを見ていた僕は棒立ちのまま、ひたすらに感動してしまっていた。言葉でないと伝えにくい物事もあるだろうと思っていたにも関わらず、手話表現に完全に打ちのめされてしまったのは、初めて自転車に乗れた子供のように、今まで体験したことのない新しい世界が目の前に開けていく感覚に可能性を見出さずにはいられなかったからだと思う。
冒頭にも書いたが、手話は声の代替手段ではない。手話に触れる機会がテレビの同時通訳くらいしかないという人は多いはずだが、あれが手話の全てだと思わないでほしい。ニュースのアナウンサーが読みあげる原稿が日本語の全てではないように、手話は単なる四角四面の旗振り信号ではなく、色彩に満ちた表現を駆使した高度なコミュニケーションなのだ。僕は、手話には手話の豊かな世界があるという当たり前の事実を多くの人と共有したい。それもできるだけ面白い方法で。
僕が属するサイエンス・コミュニケーションの世界は「よりよく伝えるにはどうすべきか」というテーマから逃れられない。誰に、何を、何のために、どのように伝えるべきか。そういったことを考え続けるのが、科学広報担当者、サイエンス・コミュニケーターの仕事だ。いち科学広報担当者として、「手話で科学を伝えよう」という「みんなの学会」の試みは大変興味深く、大いに期待したい。
手話で科学することの意義は、科学の裾野を拡張することだけにとどまらず、科学が手話というツールで表現されたとき、僕たちが科学を再発見するかもしれないという可能性にこそあるのだと思う。新しい科学コミュニケーションの場であり、学びの場であり、「手話×科学」という実験でもある「みんなの学会」を僕は応援したい。
Spoken Without Words: Poetry with ASL SLAM
僕がアメリカで観た手話によるポエトリー・リーディング。手話のイメージを覆す彼らのパフォーマンスを是非観てほしい。
リターン
3,000円

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- 18
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- 発送完了予定月
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- 申込数
- 28
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年3月
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