リターンの作成状況のご報告

この度のプロジェクトでリターンを選択していただいた皆さまにおかれましては、
長らくお待たせしており申し訳ございません。
先週からリターンの一つであるポストカードの作成が始まっておりまして、まもなく完成予定です。

今回は、先日の修理で取り外した唐紙のその後についてご報告いたします。

天井から取り外した唐紙を文化財と同じ手法で処置を行い、ポストカードとして再生します。

 

こちらが輪違屋の天井に貼られていた唐紙です。

経年の汚れが著しいため、クリーニングを行った後でカードに仕立てます。

 

 

まずは乾燥した状態での埃払いを行います。

乾いた筆を使ってクリーニングしていきます。

 

 

 

また、唐紙の裏面には旧下張紙が残っていますので、

手作業で少しずつ丁寧に除去していきます。

 

 

 

次に濾過水による汚れ除去（クリーニング）を行います。

先ほど処理を行った唐紙に濾過水を噴霧し、下に敷いた吸収紙に汚れを吸い取らせます。

 

 

こちらがクリーニング後の写真です。

冒頭のクリーニング前の写真とは別の断片ですが、

比較すると文様がより鮮やかに浮かびあがっているのが分かりますでしょうか。

 

 

 

綺麗になった唐紙をポストカードに仕立てていきます。

もとの唐紙のままですと強度が足りないため、薄い丈夫な楮紙を裏面に貼る裏打作業を行います。

 

こちらは薄美濃紙（※）を使って裏打を行っている様子です。
※絹や紙の文化財の修理で１層目の裏打紙＝肌裏紙として使用する紙

 

1層裏打した状態ではまだポストカードとしては薄かったため、

さらに楮紙で裏打を重ねて厚みを確保します。

その後、裁断してカードが完成します。

既成品とは異なり、一つ一つ手作業で作成しているため、

お時間をいただいてしまい申し訳ございません。

 

また、絵葉書セットや新調した唐紙のポストカードにつきましても、

間もなく皆さまのお手元にお届けできる予定ですので楽しみにお待ちください。