
支援総額
目標金額 400,000円
- 支援者
- 186人
- 募集終了日
- 2025年10月1日
「AIには語れない、宗教が物語る」全日本仏教徒会議シンポジウムレポート報告
AIには語れない、宗教が物語る──「無量のいのち」をめぐる未来への対話
大阪・関西万博の開催期間中、全日本仏教徒会議シンポジウム「無量の『いのち』~すべてのいのちを慈しむ~」が開かれました。
2025年9月6日 (土) 開催
シンポジウム 「無量の『いのち』~すべてのいのちを慈しむ~」
【コーディネーター】
釈 徹宗 氏 (宗教学者・相愛学園学園長・武蔵野大学総長)
【登壇者】
髙橋 源一郎 氏 (小説家・文芸評論家)
山極 寿一 氏 (大阪・関西万博シニアアドバイザー・人類学者・京都大学前総長)
福岡 伸一 氏 (大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー・生物学者・青山学院大学教授)
中島 さち子 氏 (大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー・音楽家・数学者・STEAM教育者)
https://www.obf.ne.jp/event/ajbc/047.php

私 (万博寺発起人・霍野) も参加し、その内容を自らの視点でレポートします。
文学、生物学、人類学、音楽・数学、そして宗教学──多様な領域の声が響き合う中から浮かび上がったのは「終わりがあるから輝く」「揺らぎがつなぐ」「人間だけのいのち」「物語が意味をくれる」という四つのメッセージが浮かび上がりました。
これらは宗教者にとっても、また一般の私たちにとっても、未来を見つめ直す手がかりとなる問いかけです。同時に、万博寺のキャッチコピー「生死脈々」にもつながる示唆を多く含んでいました。
そこで本稿では、その対話から得られた気づきをレポートとして共有します。
いのちは「終わり」があるから輝く
── 有限性が生む、美しさと物語
小説家の髙橋源一郎氏は、亡き人の言葉が今を生きる自分に繰り返し新しい意味を与えてくれる体験を語りました。生者よりも死者の方が「生きている」と感じられる瞬間があるというのです。
「死者の言葉の方が生きているように響くことがある」
─ 髙橋源一郎氏
これは、花が散るからこそ美しいと感じる心に似ています。もし桜が一年中咲き続けていたら、私たちは今のように特別な思いを抱かないでしょう。

生物学者の福岡伸一氏もまた、「生命は壊し続けることで保たれる」と語ります。細胞は合成と分解を繰り返し、有限性のなかで秩序を保っています。ケガをしてもやがて傷がふさがるのは、体が小さな壊しと作り直しを繰り返しているからです。
「死があるからこそ、生命は輝く」
─ 福岡伸一氏
有限性を前提としたこの言葉は、仏教の「無常観」とも共鳴し、宗教者の心にも深く響くものでした。

いのちは「流れ」と「揺らぎ」の中にある
── リズムでつながる生命のハーモニー
人類学者の山極寿一氏は、ゴリラと過ごした経験から「いのちはリズムと流れで成り立つ」と語りました。言葉を持たないゴリラとは、真似や身体の動きを通して関係を築きます。リズムを共有することで、種を超えてもつながれるのです。
「いのちとは、言葉ではなくリズムと流れに宿る」
─ 山極寿一氏
これはジャズのセッションのようでもあります。決められた譜面がなくても、演奏者が互いの呼吸を感じ取り、リズムを合わせることで音楽が生まれる。いのちも同じように、揺らぎや流れの中で他者と響き合い続けます。

音楽家・数学者の中島さち子氏は、すべての人に創造性があると語ります。完璧でなくてもいい。むしろ弱さや不完全さの中から、新しいアイデアや価値が生まれるのだと。これは、多様な石が寄せ集まって美しいモザイク模様をつくるのに似ています。
「全ての人はマイノリティ。弱さの中にこそ価値がある」
─ 中島さち子氏
いのちは固定されたものではありません。揺らぎと流れに身を委ねることで、互いに支え合い、響き合う。そこに生命の本質があるのです。

AIにはできない、人間だけの「いのち」
── 問い、忘れ、恐れ、慈しむ存在
議論は自然とAIへと広がりました。近年の生成AIは小説や詩さえ書き、人間の表現に迫っています。しかし登壇者たちは「AIには決してできないことがある」と口を揃えました。
第一に、AIは自ら問いを発することができません。問いかけは、人間だけが持つ「未来への扉」を開く力です。子どもが「なぜ空は青いの?」と聞くように、問いは新しい物語や科学を生む出発点になります。
第二に、AIは「忘れる」ことができません。人間は失敗や悲しみを忘れることで前に進みます。もし一生すべての記憶が消えなければ、誰も生きていけないでしょう。忘却は苦しみを和らげ、心をやわらかく保つ知恵なのです。
第三に、AIは「死の不安」を抱きません。人間は死を恐れ、苦しみを抱えるからこそ、祈りを求め、悟りに向かい、慈しみの心を育ててきました。
コーディネーターを務めた宗教学者の釈徹宗氏は、ここに宗教の核心があるのではないかと指摘します。
「AIには死の恐れがない。苦がなければ悟りに至る道のスタート地点がない。だからAIは悟れない」
─ 釈徹宗氏
人間が抱える「死の不安」や「苦」は避けがたいものですが、まさにその弱さを通じて人は宗教を求め、仏教に説かれる智慧や慈悲を生きることができるのです。

宗教は「なぜ私に」を物語る
── 科学が語れない「Why」を引き受ける
科学は「どうして病気になるのか」を説明できます。けれど「なぜ私が病気になるのか」という問いには答えられません。宗教は、その「Why」を物語として引き受けてきました。
これはちょうど、地図と物語の違いのようです。地図は道のりを正確に示しますが、「なぜ自分がこの道を歩いているのか」は教えてくれません。その問いに寄り添うのが、宗教の物語です。
「この物語は、私のためにある──そう響いたとき、信念となる」
─ 釈徹宗氏
「この物語は私のためにある」と響いたとき、人は信念を得ます。宗教は時に分断を生みましたが、それでも「平和を望まない宗教は存在しない」という事実は揺るぎません。
AIや科学が進化する今だからこそ、宗教の役割は必要とされるのかもしれません。

結び ─ 未来を照らす四つのメッセージ
「いのちは終わりがあるから輝く」
「いのちは流れと揺らぎの中でつながる」
「AIにはできない、人間だけのいのちがある」
「宗教は『なぜ私に』を物語る」
シンポジウムを通して私のなかで浮かび上がったのは、この四つのメッセージでした。
桜が散るからこそ、その一瞬を慈しむように。
音楽がリズムと揺らぎに支えられて響くように。
人間のいのちは有限で、不完全だからこそ輝きます。
そして、その輝きを紡ぎ合わせて物語に変えること──それこそが宗教の役割なのかもしれません。
大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」。
その言葉を深めるのは、新しい技術や経済の発展だけではなく、有限で揺らぎある私たち自身のいのちをどう見つめ、どう語り継ぐかという営みです。その歩みこそが、分断を超え、未来を照らす光となるのかもしれないと感じました。
当日の様子は、下記のYouTube配信でご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
全日本仏教徒会議 大阪大会【大阪・関西万博開催記念】シンポジウム「無量の『いのち』~すべてのいのちを慈しむ~」登壇:高橋源一郎・山極壽一・福岡伸一・中島さち子・釈徹宗
https://www.youtube.com/live/3mWB5jCgmXA?si=ofRTY6hvV396Gzru&t=1038
編集:霍野廣由
サポート:ChatGPT
リターン
1,000円+システム利用料

純粋応援 千円
「小さな一歩が大きな支えに」
◇御礼のメッセージメール
- 申込数
- 27
- 在庫数
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- 発送完了予定月
- 2025年11月
2,000円+システム利用料

万博寺オリジナルうちわ ※郵送料込み
「一日限りの祈りを、涼やかな風にのせて」
イラストレーターで宗教研究者の辻村知夏が描いた万博寺のキービジュアル入りオリジナルうちわです。手に取るたびに、万博寺の願いを身近に感じていただけます。
◇ 万博寺オリジナルうちわ
◇ 御礼のお手紙
※画像はイメージです。現物とはデザインや仕様が異なる場合があります。
- 申込数
- 13
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- 87
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