尾崎会館・時計塔建設記（４）「三権分立の時計」

1961年（昭和36年）7月に当財団より刊行された『尾崎記念会館・時計塔建設記』。
1月11日より、財団設立から現在までの歩みをREADYFORで連載中です。
パート４は、１５メートル級から一気に倍の高さになった、スイスと日本の合作による時計塔の誕生秘話です。
川崎理事長の進撃はまだまだ続きます。

－独立時計塔への意欲－

建設推進者として、私が注文し実現したのは時計塔とその高きであった。
はじめ海老原氏の設計では「時計塔」は１５メートルの高さで記念館に接近していた。しかし、１５メートルでは丸の内はおろか霞ヶ関一帯でもその存在がわからない。
そこで私は元来時計塔を建てる意義は、咢堂がやかましかった「会合時間の厳守」を周知させるためのものだから、１０メートルや１５メートルの高きでは問題にならない。建築法の制限一杯まで伸ばすべき事を主張した。

制限は３１メートル５０センチである。奇しくも百一尺余である。
それなら「百尺竿頭一歩を進める」という事になり、進歩的思想を表現する事にもなる。これで決まった。その結果会館との距離を拡げることとなった。
この点では海老原氏と最初意見が合わなかったが、次第に気心もピッタリし、
また海老原氏も時計塔の模型を発表して世評の絶賛を浴びたので、いよいよ気を良くして、工事着手後も設計管理に異常の熱意を示したものである。

時計塔を三角塔にしたのは立法・行政・司法の三権分立、互いに侵犯すべからざる事を強く提唱した咢堂の主張を取り入れたものである。

チャイムは流行にとらわれず、末永く聴衆の心に残るメロディにしたいとの思いから、「椰子の実」で知られる作曲家・大中寅二氏に作曲を依頼、快諾いただいて実現した。

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尾崎財団の公式Youtubeでも、時計のチャイムを配信しています。
しばし、耳を傾けて頂けると幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=XKNpzsGjfxM