漱石の肉筆を後世へ!漱石文庫デジタルアーカイブプロジェクト
漱石の肉筆を後世へ!漱石文庫デジタルアーカイブプロジェクト

寄付総額

4,687,000

目標金額 2,000,000円

寄付者
217人
募集終了日
2019年12月26日

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2020年09月10日 12:01

「塩原金之助」から「夏目金之助」へ

 漱石文庫には、漱石の学生時代の答案用紙が保管されています。

 漱石の学業の様子を知るうえで興味深いものですが、今回の撮影準備の際、あらためて漱石の人生について思いを馳せることとなった2枚をご紹介したいと思います。

 

「物理学答案 1888.2.2」(漱石文庫10-19)

 

 上の画像には、明治21年2月2日の日付が見えます。漱石21歳、第一高等中学校時代の答案用紙です。署名に「K. Shiobara」とあります。漱石の本名は「夏目金之助」ですから、この「しおばら・きんのすけ」とはどういうことでしょうか。

 

「弁論原稿 1888.5.」(漱石文庫10-20)

 

 こちらは同じ年の3か月後、5月1日の原稿です。署名は「K. Natsume」に変わっています。これは私たちの知る「夏目金之助」です。

 

 この経緯には、漱石の複雑な生い立ちが関わっています。

 

 ○幼少時代(東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ)

 http://www.library.tohoku.ac.jp/collection/collection/soseki/syogai-01.html

 

 漱石は、町方名主であった父が50歳、母が41歳の頃の子供でした。先妻の子も含めると8番目の末っ子で、高齢で得た子供であったこともあり、随筆の中では、生まれて間もなく、古道具を商う夫婦の下へ里子に出されたと、回想しています。

 

 私はその道具屋の我楽多(がらくた)といっしょに、小さい笊の中に入れられて、毎晩四谷の大通りの夜店に曝されていたのである。それをある晩私の姉が何かのついでにそこを通りかかった時見つけて、可哀想とでも思ったのだろう、懐へ入れて宅へ連れて来たが、私はその夜どうしても寝つかずに、とうとう一晩中泣き続けに泣いたとかいうので、姉は大いに父から叱られたそうである。(『硝子戸の中』)

 

 このとき漱石を連れ帰ったのは、16歳違いの姉の房(ふさ)であったといわれています。自伝的小説である『道草』の主人公にも、16歳違いの姉が登場し、そのモデルといわれます。

 

 生家の夏目家に戻った漱石は、1歳の頃に今度は塩原家に養子に出され、養父母を実の父母と信じて育つことになります。その養父母が漱石8歳の時に離婚すると、翌年には再度、夏目家に引き取られることとなりました。

 

塩原家で育てられていた頃の漱石(『漱石寫眞帖』)

 

 生家に戻ってしばらくは、実父と実母を祖父母と思いこんだまま過ごしていました。本当のことを教えてくれたのは、親切な下女だったと回想しています。

 

 「あなたが御爺さん御婆さんだと思っていらっしゃる方は、本当はあなたの御父さんと御母さんなのですよ。先刻ね、おおかたそのせいであんなにこっちの宅が好なんだろう、妙なものだな、と云って二人で話していらしったのを私が聞いたから、そっとあなたに教えて上げるんですよ。誰にも話しちゃいけませんよ。よござんすか」

 私はその時ただ「誰にも云わないよ」と云ったぎりだったが、心の中では大変嬉しかった。そうしてその嬉しさは事実を教えてくれたからの嬉しさではなくって、単に下女が私に親切だったからの嬉しさであった。不思議にも私はそれほど嬉しく思った下女の名も顔もまるで忘れてしまった。覚えているのはただその人の親切だけである。(『硝子戸の中』)

 

 夏目家に体だけは戻った漱石でしたが、正式な復籍はずっと後のことです。それまでは学校生活も塩原姓で送っていました。

 養父と離縁証書を交わし、復籍がかなったのは明治21年(1888年)1月です。冒頭の答案用紙は翌月のものですが、本人はまだ「塩原」姓を使っていたことが分かります。ちなみに親友となる正岡子規と出会ったのはこの翌年で「夏目金之助」になってからでした。

 

 漱石文庫の整理をしていると、このように作家の人生と作品のつながりを感じさせる資料に出会う時があります。

 

 

 

 

 

 

 

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ポストカードの柄は全8種類から、3種類をセレクトいたします。
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