武田勝頼も登場する人気演目『十種香の段』とは？〜SUWA×文楽2024特別返礼品紹介

絵姿しか知らない婚約者の死を弔う八重垣姫の前に現れたのは・・・

　この度クラウドファンディングの返礼品として、照光寺本堂で奉上する『本朝廿四孝 十種香の段』。この段は、諏訪湖畔で無料公演が決定した『奥庭狐火の段』の前段になります。

　婚約者である武田勝頼が、切腹を命じられ死んだという知らせを八重垣姫が受けるところから始まります。愛する勝頼の絵が描かれた掛け軸（当時は写真などありませんし）に向かい、十種香を焚きお弔いの読経を読む八重垣姫の悲しみが伝わる段です。ただここで死んだと知らされた勝頼は実は偽物で、本物の勝頼は実は生きており、花づくりの蓑作（みのさく）に身をやつしているのです。しかしそんなことを知らない八重垣姫は悲しみに暮れています。しかしここに蓑作が現れ、絵姿の勝頼そっくりであることから腰元の濡衣（ぬれぎぬ）に仲を取り持つように頼みます。

恋する姫の情熱が炸裂！古典芸能のラブストーリーが面白い！

「えええっー、変わり身が早くね？さっきまで読経してたよね？」と思うほど、想い人に対しては情熱的な八重垣姫。でも、絵姿そっくりな蓑作は、実は勝頼だったわけで、まあそこは良いのかなとも思います。とにかく深窓のお姫様でありながら、恋に一途なこの姫に魅せられる人が多いからこその人気演目なのかもしれません。

　実はこの『十種香の段』と『奥庭狐火の段』は、割とセットで上演されることが多い演目です。この『十種香の段』があるからこそ、諏訪大明神の霊力を宿し諏訪湖の氷の上を渡る、情熱的なヒロイン八重垣姫がひきたつのかもしれません。

照光寺本堂で『十種香の段』を公演できる奇跡

　ちなみに十種香とは白檀・沈香・零陵（れいりょう）・甘松（かんしょう）・蘇合（そごう）・薫陸（くんろく）・白膠（はっこう）・鶏舌（けいぜつ）・ 鬱金（うこん）・青木（せいぼく）の１０種を調合したお香だそうです。

　十種香を焚き勝頼の絵姿に読経する八重垣姫の場面を、照光寺本堂で奉上公演できるのは実は奇跡的なことなんです。詳しくは、次回、千年以上の歴史を持つ名古刹「照光寺の秘密」編でお話しさせていただきますのでお楽しみに！

（信州しもすわ温泉 ぎん月代表　武居智子）

照光寺の秘密　

～知られざる秘仏・諏訪大明神本地仏・千手観世音菩薩～

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