音楽と出合うところはどこだろう？

横手市郊外にある曹洞宗 正伝寺。周囲は田んぼで、のどかな田園風景が広がっていました。

 

2002年夏、突如ここに小澤征爾さん率いる若い音楽家たちのキャラバン隊とロストロポーヴィチ氏が現れました。

前日夜に現スタッフの憲子さんから情報を得て、私も仕事もそこそこに横手入りしました。

 

みんなどこから情報を得たのか、私たちが到着したときにはすでにたくさんの人たちが集まっており、音楽関係者の姿も数多く見受けられました。オーケストラの横には息子さんで俳優の小澤征悦さんの姿もありました。私たちを含め多くの人たちが境内で立ったまま演奏に耳を傾けました。

 

記録によるとプログラムは

サン・サーンス「チェロ協奏曲第１番イ長調」
チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲イ長調」
チャイコフスキー劇音楽『雪姫』より「メロドラマ」（指揮  ロストロポービッチ)

 

NHKのドキュメンタリーの撮影班も同行していて、のちに「みましたよ。映ってましたね」と揶揄われたものでした。仕事さぼってたのがばれた。いえ、ちゃんと有休でした！

 

当時、本堂に座って熱心に聴いていた少年たちの中には、チェロに魅入られその後音大へ進み、室内楽やソロで活動を始めた若者もいます。

 

何気ないところで偶然に出会った音楽が人生を変えることもあるし、生活に新たな愉しみをもたらすこともある。私たちはそう信じています。