三菱財団の文化財修復の補助金贈呈式に出席して参りました。

一昨日、東京の丸の内、東京會館で行われました三菱財団の補助金贈呈式に出席して参りました。自然科学分野・人文科学分野・福祉分野・文化財修復分野の４部門の採択者が一同に会しましたが、文化財の分野は始まって、まだ５年で１１名の採択と全体の中では少ない人数でした。

今までも、文化財の補助金を頂いたことがありましたが、このような贈呈式を開催している団体は少なく非常に驚きました。

かつての採択者の報告では、人文科学分野からコロナ治療に関する免疫の働きの研究の報告があり、文化財修復分野からは掛け軸の修復について報告がありました。どちらも、とても興味深い内容でいい機会を頂いたと感謝しております。

贈呈式後の懇親会では、直接、選考委員の方とお話もできましたし、他の採択者さんとお話しするのも貴重で有意義な機会になりました。改めて、三菱財団には深く感謝申し上げます。選考委員からの報告では、文化財修復は２４件の応募から１１件が採択されたそうです。他の補助金に比べても補助金が設立されたのが最近だったためか、採択倍率が低い気がします。

文化財修復の資金調達でお困りの寺社の方は、ぜひ応募してみてください。

最後ですが、贈呈式に参加して感じたのが、こうした文化財保存の分野で文化財をマネージメントする人材が不足しているということです。私自身は修復が終わると、すぐに１００年後なり２００年後なり、次の修復に向けての資金調達が始まると思っております。ポストカードを作ったり、御開帳の際に授与する特別な御朱印を作ったり、解説ツアーを行うなどが考えております。しかし、多くの方は、次の修復は遠い将来で自分が関わらないためか、あまりそうしたことを考えておられないように感じました。

またそうしたことを行うにも美術館の学芸員にしても、お寺の住職さんにしても、マネージメントの勉強をしてきたわけではないので、そうした知識も経験もなく、思いつかないということもあるかもしれません。こうした文化財を適切に活用し、文化財自身が自分の修復費用を自分で賄えるようにする。そうしたプロデューサーのような人材を育てることも、文化財の保護には必要ではないかと感じました。